意味不明? ドコモ「irumo」の狙いは何なのか:本田雅一の時事想々(1/3 ページ)
ドコモが発表した新プラン「irumo」と「eximo」。ブランド名だけを聞けば、サブブランドを想起するが、その実態はドコモ本体のブランド名というから驚きだ。一見すると位置づけが意味不明にも思えるが、その狙いは何なのか。
かつては、ドコモというだけで高い品質を想起させたものだ。
全国のカバーエリアは圧倒的に広く、山間部から海洋エリア、都市の隅々まで行き渡り、実効速度や接続性について特に検証するまでもなく「良いのだろう」と思わせる。それだけのブランドを積み重ねてきたことは、もはや説明するまでもない。
そんなドコモの回線が、ここしばらくの間、とりわけ都心で壊滅的になっていた。3G回線時代には頻繁に使われていた“パケ詰まり”を、まさか5Gの時代にドコモ回線に対して使うなどとは、誰が想像しただろうか。
渋谷や新宿、池袋などだけかと思いきや、都心全域、人が集まるところドコモパケ詰まりアリ。筆者の肌感覚だが、都心部はソフトバンク回線のパフォーマンスが良好で、KDDI(au)も安定している。楽天もところどころカバーできていないポイントはあるが、パケ詰まりなんてことはない。
と、今回の話はそんなドコモの回線状況を嘆こうというものではない。irumo、eximoと名付けられた、ドコモの新しい料金プランについてだ。もっとも、皮肉をいうためだけに都内の回線品質について書いたわけではない。
今回の料金プラン、ブランディングには、ドコモの慢心を強く感じたからだ。まずは黙ってインフラとしての質を高める。その上に成り立っているはずのマーケティングが主従逆転。築き上げたブランドの上に、あぐらをかいているように思えてならない。
OCN再編で事業全体の構造をスッキリ
OCNは、かつてNTT改革の旗印のようなブランドだった。電電公社時代から引き継いできた固定電話網を背景に硬直化した、旧NTTのビジネスモデルを脱却して、インターネット時代を担うオープンなネットワークサービスだった。
そうした意味では、NTTの移動通信部門から分離独立し、当初はベンチャー気質が高く新しいことへと積極的に挑戦していた、初期のNTTドコモともよく似た側面があったともいえるだろう。
今では想像できないかもしれないが、ドコモもOCNも、パソコン寄りの通信オタク的な視点からは、「お、ジジイばっかのNTTブランドってわけでもないんだな」と思わせるブランド、組織としての若さがあった。
と、話が逸れたが、そんなOCNも時代を経てインターネットサービスプロバイダー(ISP)とMVNO事業者という、インターネットへの出入り口を提供するサービスのブランドとして残り、NTTコミュニケーションズからNTTレゾナントへと移管。同時にNTTドコモの100%子会社となっていたが、それも7月1日にNTTドコモへ吸収合併される。
「OCN モバイル ONE」として提供していた低廉なモバイルデータ通信サービスと光回線は、いずれもドコモ本体のサービスと重なる。irumo発表のタイミングで、OCNブランドとしては終息させることになった。
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