「日本のディズニーは大行列。1万円は高すぎ」 この主張は妥当なのか(後編):スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
東京ディズニーランドのチケットが値上げする。1万円を超える日もあるわけだが、このニュースを受けて批判の声が出ている。「海外に比べて日本のディズニーは混んでいる。チケット代は高い」という意見があるが、このことについて……。
マジックキングダムも値上げ
さて、そこで想像していただきたい。東京ディズニーランドよりも狭い、このマジックキングダムに東京ディズニーランドよりも年間300万人ほど多くの客が訪れたらどんなことになるのか。
当然、アトラクションはかなり待つ。行った方は分かると思うが、シーズンによっては、東京ディズニーランドと変わらないくらいの混みっぷりのときもあるのだ。
では、地元の米国や世界のディズニーファンたちは「混んでいるから安くしろ」と怒りの猛抗議をしているのかというと、そんなことはない。むしろ、これだけ人気があるのなら、値上げをしていくのが当然だと受け入れている。
マジックキングダムの入場料が100ドルを超えたのは、2015年2月のことだ。それまでは1日入場券料金が99ドルだったが、105ドル(1万2500円、当時の為替レート)に引き上げられた。「入場券が100ドルの心理的節目を超えるのは業界初」(ロイター 15年2月24日)とメディアが報じたが、日本のように「昔のマジックキングダムはよかったが、最近は儲け主義だ」とか「海外のディズニーに比べて割高だ、100ドル払う価値がない」なんて感じで、「安売り」を迫る人はそれほど多くなかった。
その後、値上げを続けても、マジックキングダムの来場者数が落ち込むことはなく世界一の座をキープし続けていることが、その証左である。
世界中から多くのファンがマジックキングダムに押し寄せているので、アトラクションに行列ができる日もある。しかし、そのように人気が上がれば上がるほど、マジックキングダムはチケットの価格を上げていく。そして昨年11月には、ついに東京ディズニーランドのおよそ2倍になった。
『米ウォルト・ディズニーが米南部フロリダ州で運営するテーマパークで、新たな料金体系を来月8日から導入することが16日、分かった。世界で最も入園者が多いといわれる「マジックキングダム」は1日券の最高額が現在より30ドル(約4200円)高い189ドル(約2万6000円)となる。需要が旺盛で、アトラクションに多額の投資を続けていることを理由に挙げた』(共同通信 11月17日)
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