「セルフレジにキレる老人」問題どうする? 模索続く大手企業 要注目の「スローレジ」とは:先進事例を紹介(1/6 ページ)
セルフレジやセミセルフレジが急速に普及している。一方で、適応できない利用客の存在も注目される。どうやって解決すればいいのか?
人手不足が続く小売り・サービス業において、レジは高速で進化しています。一方、新しいレジに対する消費者の反応はさまざまで、各地で話題になっています。
レジの現在はどうなっているのか。レジ問題を解決するための方法はあるのか。消費トレンドを追いかけ、小売り・サービス業のコンサルティングを30年以上にわたり続けているムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸が分析していきます。
レジは消費者が一番ストレスを感じやすい
先日、群馬県前橋市の「ユニクロ前橋南インター店」を訪れました。環境配慮型の郊外型新店舗第1号店として注目されています。1フロア750坪という大型店で商品を購入してレジに行くと、私はその光景に目を奪われました。レジにスタッフがいない完全セルフレジがずらりと並んでいたのです。同社では当たり前のことですが、改めて驚きました。
奥にサービスカウンターはありますがそこに常時人はおらず、レジは来店客が1人で操作し、精算し、袋詰めして帰っていました。
RFIDタグが全品付いているので、所定の位置にカゴを置き、精算ボタンを押せば自動精算される仕組みです。そのため、レジスタッフが要らないのです。
一方、精算に手間取っている人もいました。私は「これでも完全な解決策ではないのだ」と感じました。
レジとは、消費者にとっては代金を支払う場所であり、店にとっては代金回収の重要な場所です。そのため、レジでストレスを感じたりトラブルが起きたりといったことは日常茶飯事です。店へのクレームの大半はレジ周辺で起きているといっても過言ではありません。
お金を支払う作業は面倒であり、かつデリケートなシーンです。また、店にとっても間違いが起きてはいけないので、どうしても慎重にならざるを得ません。
急いでいる時にコンビニレジでの支払いに手間取ったり、戸惑ったりしている人を見るとイライラした経験がある人は多いでしょう。逆に、自らがそのような立場になると、後ろに並んでいる人の視線が気になって、余計に焦ったというケースもあると思います。
できるだけレジ精算業務がスピーディーになるよう、セルフレジなどを店側が導入している背景にはそうした事情もあります。
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