「セルフレジにキレる老人」問題どうする? 模索続く大手企業 要注目の「スローレジ」とは:先進事例を紹介(2/6 ページ)
セルフレジやセミセルフレジが急速に普及している。一方で、適応できない利用客の存在も注目される。どうやって解決すればいいのか?
セルフレジの利用状況は?
Yahoo!ニュースとITmedia ビジネスオンラインが共同で企画した調査では、77.8%がセルフレジを「積極的に使っている」または「たまに使う」と答えています。
その一方で消費者からは使いづらいという声も挙がっています。使いづらい理由(複数回答可)としては「システムエラーが起きないか不安」が最も多く29.8%。「スキャンをし間違えないか不安」が28.1%。機械に対する不安に次いで多いのが、「面倒だと感じる」(22.4%)、「使い方が分からない」(21.4%)、「万引きを疑われないか不安」(18.6%)でした。実際にセルフレジで経験したトラブルでも「使い方が分からず、セルフで会計を済ませられなかった」(12.1%)などの声が挙がりました。
手早く簡単に済ませられるはずのセルフレジが、まだ十分に機能していないのです。
使い方が分からない人がいるため、フルサーピスレジ(有人レジ)に入っている店員がセルフレジの使い方を教えなければならなかったり、客の代わりにレジ操作をしたり、万引きされていないかを監視するようなことが増えたりといったように、店員の負担が増えているという問題も出てきています。
セルフレジの利用率は確実に増えています。顧客満足度調査などを手掛けるMS&Consultingの2023年発表資料では、セルフレジとセミセルフレジの利用率は毎年伸びていて、23年1月時点では6割を超えています。もはや店にとっても利用者にとっても欠かせない存在です。
この調査でもセルフレジは「使い方が分からない」「慣れていないと不安」といった声がありました。総合的な利用者の意見としては以下のようになっていました。
購入点数が多い場合はフルサービスレジ、少ない場合はセルフレジ
普段使い慣れているお店はセルフレジ、慣れていないお店ではフルサービスレジ
商品券やクーポンの利用など、決済が複雑化する時はフルサービスレジ
全国スーパーマーケット協会などがまとめている「2022年度スーパーマーケット年次調査報告書」によると、セルフレジの導入は確実に進んでいます。
同調査報告書によると、セルフレジはすでに25%以上が設置済みであり、年々増加しています。セミセルフレジに至っては75%の店舗で設置しており、スーパーマーケットのスタンダードになっていることが分かります。
一方、「アマゾンゴー」で注目されたレジレスシステム(消費者自らが選んだ商品をセンサーが読み取り、レジを通さずに精算ができる仕組み)の導入は日本ではほとんど進んでおらず、設置も消極的であることが分かります。レジレスシステムは導入費用が高い割に、利用者側の手間も意外とかかるとして、導入が見送られるケースが多いようです。
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