コンタクトセンターの「マニュアル廃止」 商談特化にしたら、どんな成果が出たのか?:バイセルの変革記(1/3 ページ)
リユース事業を展開するバイセルは、コロナ禍から継続的に売り上げを伸ばし続けている。受身のコンタクトセンターを解体し、攻めのセールスチームに変革させたことが成長のカギとなったようだ。変革の舞台裏を取材した。
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着物や古銭など自宅に眠る資産のリユース事業を展開するBuySell Technologies(以下、バイセル)。同社は、新型コロナ流行による巣ごもり需要を捉えて急拡大した企業の一つだが、パンデミックが終息した現在も売上高を年30%以上伸ばし続けている(2022年12月期決算時点)。
その要因の一つに、電話やWeb問い合わせに応じるコンタクトセンターをニーズを引き出す「セールスチーム」へ変革させたことがある。
実際、20年7月に改革をはじめて以来、わずか2年で高ランク客(高い収益が見込める顧客のこと)のアポイント獲得率を38.1%から51.6%へと引き上げることに成功した。その理由はマニュアルの撤廃と、個別最適化したチームメンバー教育にあった。
コンタクトセンターを「待ちのチーム」から、売り上げを生み出す「攻めのチーム」へ移行させるためにバイセルが取り組んだ改革とは何か。同社のセールスディベロップメント事業本部インサイドセールス事業部 部長 梶田あやめ氏への取材をもとに、その秘けつを探った。
典型的な「待ちのコンタクトセンター」だった
パンデミックが起こる以前、もともとバイセルのコンタクトセンターの役割は電話やWeb経由の問い合わせに応じたり、訪問日時を調整したりすることに限られていた。
しかし、梶田氏は「それだけでいいのだろうか」と違和感を持っていた。というのも、コンタクトセンターの対応次第で売り上げが大きく変わってくるのではないか、という仮説を持っていたからだ。
「問い合わせされたお客さまと話す中で、意外と買い取り希望商品以外の買い取れる商品をお持ちの方が多いことが分かっていました。例えば『着物を買い取ってほしい』と問い合わせられたお客さまであれば、茶器や舞踊の小道具といった着物に関連する資産がタンスの中に眠っていることもあります。お客さまは『資産』にならないと考えているものが、意外と買い取り対象になることも多いです」(梶田氏)
バイセルに買い取りを希望する顧客は年配女性が多く、遺品整理や子どもが巣立ったあとの身辺整理といった需要からだという。不要になったおもちゃ、茶器など、高く買い取れる「隠れ資産」が気付かれないまま放置されている可能性が高いのだ。
コールセンターでは顧客とのやり取りを通じて、本人が自覚していない資産まで探りあてていく。おかげで実際に買取担当者が訪問した際に、スムーズに商談を運べるだけでなく、より大きな買取点数にいたるというわけだ。
「コールセンターと営業は一体である」という考えのもと、梶田氏はパンデミックをきっかけにコンタクトセンターを「インサイドセールス事業部」へと名称を変え、その役割を軌道修正していくことにした。
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