小泉成器の「レトロ扇風機」が話題に ヒットの背景に2つの理由:猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い(2/4 ページ)
小泉成器の「レトロ扇風機」が注目を集めている。昭和の香りが漂うデザインになっているが、想定以上に売れているという。そもそもなぜエッジの効いた商品を開発したのか、またなぜ売れているのか。担当者に話を聞いたところ……。
社内からは「反対」の声も
それにしても、小泉成器はなぜこのようなエッジの効いた商品を開発したのだろうか。同社はたくさんの家電を扱っているが、オーソドックスなデザインが多い。良く言えば、定番にこだわっているわけだが、悪く言えば、斬新さに欠ける。
同社のそうした商品づくりに対して、「型通り」「ベタな」「お決まりの」「保守的な」といった言葉が浮かんでくるが、レトロ扇風機は違う。「奇抜」「独特」「一風変わった」「逆に、新しい」といった言葉がよく似合う。
レトロ扇風機の開発に携わった折本健一さん(商品事業部)に開発のきっかけを聞いたところ、「数年前からレトロが流行っていますよね。ということは、レトロな扇風機をつくれば『欲しい』という人がたくさんいるのではないか。こうした仮説を立てて、開発がスタートしました」とのこと。
同社は長年、扇風機をつくってきたので、ノウハウはたっぷりたまっている。30年以上前に前身の会社が昭和レトロを感じさせる扇風機をつくっていたので(当時はもちろん、流行のデザイン)、それを参考に組み立てられる。
技術的に大きな問題はなかったが、奇をてらったデザインをあまり手掛けていないこともあって、社内からは反対の声があった。「会社のイメージとズレるのではないか」と。
反対する人の気持ちもよく分かる。イメージとズレる商品を販売して、もし売れなかったら……。多くの消費者は「小泉成器って迷走しているな」などと受け止めるかもしれないので、会社の上層部が慎重になるのも当然である。
しかし、従来の考え方で商品をつくっても、消費者の心をわしづかみすることは難しい。機能面だけでなく、デザインであったり、バラエティー感であったり。他社にはない商品を世に出すことで、話題を集めることはできないか。この考えをベースに、開発担当者は社内を説得して回った。
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