サントリーの「ほろよい」はなぜ91種類もあるのか 商品開発のキモは2つ:週末に「へえ」な話(1/4 ページ)
サントリーの「ほろよい」が売れている。低アルコールのRTD市場でトップを独走しているわけだが、なぜ多くの消費者から支持されているのか。開発の背景を取材すると、2つのキーワードが浮かんできた。
「ボヤキ」が有名で、ヤクルトスワローズや阪神タイガースなどで監督を務めた野村克也さんは、数々の名言を残している。たくさんある中で、個人的に好きなのは「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(松浦静山の剣術書『剣談』から引用)である。筆者の場合でいえば、コラムを書いていて、多くの人に読んでいただける原稿もあれば、残念ながらそうでないものもある(涙)。
企画も納得したものができ、取材もスムーズにいった。原稿も自分なりにうまく書けたかなと思っていても、想定よりも読まれないことがある。なぜ、多くの人に読まれなかったのか。ちょっと振り返っただけでも「掲載するタイミングが悪かったかな」「タイトルがイマイチだったかな」「構成を入れ替えておくべきだったかな」といった感じで、次々にダメな理由が浮かんでくるのだ。ノムさん流にいえば、「読まれない記事に不思議の記事なし」である。
さて、そんなことを考えながら、低アルコールのRTD市場(Ready To Drinkの略で、「開けてすぐに飲める」飲料のこと)を見ると、興味深いデータが出てきた。インテージの調査によると、低アルコールRTD市場のトップはサントリースピリッツ(以下、サントリー)の「ほろよい」で、シェアは58.6%と半数を超えている。年代別に見ても、「ほろよい」「ほろよい」「ほろよい」「ほろよい」といった具合に、20〜50代のすべての年代を“制圧”しているのだ。
このように書くと、「ノムさんの名言をやゆって、『売れている商品に不思議な商品あり』とディスりたいの?」と思われたかもしれないが、そういうわけではない。これまで数多くの商品を世に出してきたなかで、「苦戦した商品に不思議の商品なし」という視点に立って反省し、ヒットの打率を上げている様子がうかがえたのだ。
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