小泉成器の「レトロ扇風機」が話題に ヒットの背景に2つの理由:猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い(3/4 ページ)
小泉成器の「レトロ扇風機」が注目を集めている。昭和の香りが漂うデザインになっているが、想定以上に売れているという。そもそもなぜエッジの効いた商品を開発したのか、またなぜ売れているのか。担当者に話を聞いたところ……。
商品開発の壁
反対していた人を説得して、いざレトロ扇風機をつくることに。先ほど紹介したように、小泉成器は扇風機をつくり続けてきた。というわけで、レトロ扇風機を完成させるのはそれほど難しくないと考えていたが、想定外のことが起きてしまう。
最初の壁は「色」である。昔の雰囲気を出すために、少しくすんだ白色を考えていたが、できあがった試作品を見ると、真っ白だった。レトロ感を出そうとしても、どうしても今風の色になってしまう。工場の担当者に「もう少しくすんだ色で」「あと、もうちょっと」といったやりとりを何度もして、ようやく理想の色になったそうだ。
次の壁は「ボタン」である。記者は実際に押したところ、想像以上に「むむ、重いなあ」という印象を受けた。ただ、昭和40年代生まれの人間なので、「そういえば家にあった扇風機のボタンも、こんな感じだったなあ」という記憶がよみがえった。
完成品は「カチっ」という音がするが、できあがった試作機は違っていた。ボタンではなく、左右に動くレバー式になっていたのだ。右にスライドさせると風が強くなって、左にスライドさせると弱くなる。この機能を目にした折本さんは、NGを出す。「昭和感を出すためには、やはりボタンでなければいけない」ということで、急きょボタンに変更。
次の試作機ではボタンが設置されていたが、押してみたところ軽かったのだ。理想の「カチっ」という音を出すために、工場と何度もやりとり。「もうちょっとバネを強くして」「あとちょっとだけ」といった会話を交わして、ようやくいまの音を出すことができたのだ。
ちなみに、タイマーを回すと「ギギギギ」という音がする。これもボタンの「カチっ」と同じで、昔の扇風機を再現させるには不可欠の音として、こだわった部分でもある。
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