小泉成器の「レトロ扇風機」が話題に ヒットの背景に2つの理由:猛暑に商機 「ひんやりグッズ」の狙い(4/4 ページ)
小泉成器の「レトロ扇風機」が注目を集めている。昭和の香りが漂うデザインになっているが、想定以上に売れているという。そもそもなぜエッジの効いた商品を開発したのか、またなぜ売れているのか。担当者に話を聞いたところ……。
昭和レトロの家電が増えれば
ここまで読んだ人の中には、このようなことを感じられたかもしれない。「昔の扇風機をつくりたいのであれば、昔の設計図を取り出して、そのままつくればいいのでは」と。しかし、この意見は却下である。見た目は昭和でも、機能は令和をコンセプトとして掲げているからだ。
冒頭で触れたように、自動首振りを搭載したり、手動首振りを付けたり、角度を細かく設定できたり。昔の羽根は3枚タイプのものが多かったが、レトロ扇風機は5枚に。風の柔らかさを追求すると、一般的に羽根の数が多いほうがよいと言われている。というわけで、3枚ではなく、5枚の設計にしたそうだ。
最後に、レトロ扇風機がなぜ売れたのかを考えてみた。理由は2つ浮かんできて、1つめは他社にはない製品であること。競合が見当たらないので、家電量販店に足を運んだときに「お、なにこれ。気になる」といった感じで、目にとまりやすい。
もう1つは、コンパクトなサイズであること。いわゆる“一台目の扇風機”は、多くの家庭が持っている。大きいサイズの扇風機があるので、その市場で勝負することは難しい。2台目、3台目の需要を掘り起こすには、サイズを小さくすればいいのではと考えたのだ。
「他社にはない」「コンパクトなサイズ」――この2つがうまくかみあったことで、想定以上のヒットにつながったようだ。
昭和レトロを感じさせる商品はたくさんあるが、家電コーナーを見ると、それほど多くない。炊飯器など一部の商品は、レトロなデザインが描かれているが、テレビ、冷蔵庫、エアコンなどは最新の機能を搭載して、流行のデザインを取り入れている。
もし、他の家電にもレトロが広がると、どうなるか。「昭和コーナー」なるものが誕生して、昔のデザインをあしらった商品がたくさん並ぶことになる。そこに置かれている扇風機に向かって、子ども……いや、昭和を駆け抜けた大人がこのようなことをつぶやいているかもしれない。
ワレワレハウチュウジンダ――。
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