9割が批判? 急速に進んだ電動キックボード規制緩和への違和感:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
新たな交通手段として世界各地で浸透している電動キックボード。その取り扱いについては賛否が分かれ、規制の議論が活発に行われている。
新たな交通手段として世界各地で浸透している電動キックボード。一部では都市交通のソリューションとして捉える声もある。しかし一方で、その取り扱いについては賛否が分かれ、規制の議論が活発に行われている。
国内でも、業界のリーディングカンパニーであるLuup社を筆頭にサービスの裾野が拡大している。規制緩和は、業界団体と政府が協議を重ねた中で実現した。
2023年7月1日には改正道路交通法が施行され、電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」にカテゴライズされるようになった。利用者はこれまでは必須であった普通運転免許証なしで、ヘルメット着用も努力目標となったほか、時速6キロ以下では歩行者扱いとなり、歩道も走行できるようになった。
しかし、そんな改正案に対する国民の声は必ずしも歓迎でなかったようだ。SNSの投稿を分析する「Yahoo!リアルタイム検索」によれば、規制緩和がクローズアップされた7日間で「電動キックボード」に関するツイートが2万4639件投稿され、そのうち90%がネガティブな内容だった。また、同じ時期に投稿された「LUUP」に関するツイートも、全2862件の3分の2以上に該当する投稿がネガティブな内容のツイートであったという。Luup社長・岡井氏の7月1日の投稿も、厳かな内容とは裏腹に冷ややかな反応が目立つ形となってしまった。
今回の規制緩和は、道路交通法の改正という国会審議を経て実施されている。SNSでの投稿は時に偏りもみられ、社会的な受け止めと見なすには不十分な場合もある。しかし今回は、実際のユーザー層や、電動キックボードと共生しなければならない運転手層、そしてネットに口コミを投稿する利用者層の属性はさほど違わないだろうことを鑑みると、批判的な見方は一定数あると考えてよさそうだ。
その中でせめて「賛否両論」であればまだ納得できるかもしれないが、特定のテーマについて9割がネガティブな反応を示している。それほどデリケートなテーマにもかかわらず、スピード改正された点については、民意が政治の場に届いているのか疑問を覚えざるを得ない。
使用してみると分かる、LUUPの問題点
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