「キャリア意識が高い人」は40代で減り、50代で増える──なぜ?
日本総合研究所(東京都品川区)とアビームコンサルティング(東京都千代田区)は、人的資本経営の柱となる「プロアクティブ人材」に関する実態調査を実施した。
終身雇用制度が絶対ではなくなりつつある昨今、ビジネスパーソンにはキャリア自律のための取り組みが求められる。
そのための行動を取れる人は、年代別に見ると20代から40代にかけて減少し、40代が最も低い値となると、日本総合研究所(東京都品川区)とアビームコンサルティング(東京都千代田区)が実施した「プロアクティブ人材」に関する実態調査で分かった。
40代は「キャリア自律」的な行動が減る なぜか?
同社らは「プロアクティブ行動」はキャリアを自ら築いていくための自律的な「革新行動」「外部ネットワーク探索行動」「組織化行動」「キャリア開発行動」の4つからなると定義。これらのプロアクティブ行動の実践度合いを5段階で測定し、4.0以上の人を「プロアクティブ人材」、2.0以下の人を「非プロアクティブ人材」とした。
年齢帯別に見ると、プロアクティブ度は20〜40代に向けて下がっていき、その後60代に向かって持ち直していく傾向が見られた。特に業務上中核的な存在であることが多い40代が最も低い値となり、低下幅は男性の方が大きい。同社は「この傾向は、多くの企業で見られる『中堅層になるとモチベーションが低下し、組織に頼り切る人が現れる』という課題と類似している」と分析した。
プロアクティブ行動の結果が起こすさまざまな影響を分析したところ「職務成果」「自己実現」「ワークエンゲージメント」の3要素と明確な正の相関関係があることが分かった。
プロアクティブ行動と転職回数の関係性については、明確な相関関係は見られなかった。また転職の回数について、0回だった人の割合はプロアクティブ人材が47.2%、非プロアクティブ人材が40.7%となった。プロアクティブ人材は積極的に転職するわけではなく、定着率も高い傾向にあった。
調査は1月6〜12日にインターネットで実施。会社員2万400人を対象とした。
関連記事
- 「手塩にかけて育てたのに転職」を、どう防ぐか? 社員のキャリア開発マニュアル
近年、多くの企業が取り組む「従業員のキャリア開発」。キャリア自律を支援する一方で、推進するにあたっては課題や、退職リスクもあります。十分な検討と準備が必要ですが、それでは、何から始めればよいのでしょうか。解説します。 - 幹部候補か、“万年ヒラ”か キャリアの分かれ目「30代以降の配置」を、人事はどう決めている?
「育成」の観点から異動配置させる20代が過ぎると、多くの企業は「幹部候補の優秀人材」と「それ以外」の社員を選別します。人事は、そうした異動配置をどのように決めているのでしょうか。年代層別の異動配置のロジックをみていきます。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.