「コメダ珈琲店」グループ1000店舗突破 使いやすい駐車場、高い営業利益率 強固なビジネスモデルに迫る:独自戦略の強み(2/3 ページ)
「コメダ珈琲店」がグループ1000店舗を突破した。どうしてここまで急成長できたのか。広い駐車場、逆詐欺メニューなど、ビジネスモデルを分析する。
居心地の良さ×食事メニューの充実
コメダ珈琲店はなぜ人気店となったのか、消費者の目線から考えてみたい。
1点目は居心地の良さだ。席同士が離れているため各自のスペースが確保されており、都市部のスターバックスのように狭さや喧騒(けんそう)は感じられない。こうした点は高齢者にはうれしく、確かに他のカフェチェーンよりも客の年齢層が幅広い印象がある。
2点目は何といっても充実している食事メニューだ。名古屋発祥であるコーヒー1杯にトーストとゆで卵がつくモーニングは目玉商品の1つとなっているほか、シロノワールなどの看板商品もある。サンドイッチやハンバーガー、スパゲティなどの商品も充実のボリュームで、カフェだけでなく食事の場としても利用されている。そのため、一般的なカフェは午後3〜5時帯が最も混むが、コメダ珈琲店では時間帯を問わず客が集まる。余談だがコメダの郊外型店舗は出入りしやすい広い駐車場も売りとしており、この点は車文化である中京圏で店舗数を増やした要因の一つともいえよう。
加盟店にパンとコーヒーを売るビジネスモデル
次にビジネスモデルの点からコメダ珈琲店が伸びた背景を考えてみたい。直営店とライセンス店(実質FC店)で構成されるスターバックスジャパンの営業利益率は10%程度であるのに対し、コメダHDの場合は21%(22年度)と2倍である。
また、9割以上が加盟店で構成されるFC主体の経営である点も指摘したい。飲食店経営において重要となる考え方に「FLR」がある。これは、食材費(Food)+人件費(Labor)+家賃(Rent)の頭文字をとったものだが、コメダ珈琲店の場合は、人件費と家賃などのコストを本部が負わない。FC主体であれば不採算店の損失を負わず高い利益を維持できる。
FCとはいえ加盟店に課される「席数×1500円」という破格のロイヤリティーは本部収入の1割程度にしかならず、収入の7割が加盟店に対するコーヒーやパンなどの卸売で構成されている。つまり食品製造と卸売業で成り立っているのだ。ちなみにコーヒーの抽出は店舗ではなく自社工場で行っており、この点は品質の安定化や店舗側の作業コスト削減に貢献しているという。
YouTubeでFC経営について紹介しているフランチャイズチャンネルによると、コメダ珈琲店では広い駐車場や凝った店舗内装が必要となるためか、FC加盟には1億円程度の投資費がかかるそうだ。ハードルが高く、規模や経験のあるフランチャイジー企業しか参入できないことも安定したサービスを提供し続けられる要因の1つといえよう。
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