「ビッグモーター」不正のウラに何があったのか 長年の“不文律”も一因か:高根英幸 「クルマのミライ」(6/6 ページ)
中古車の買取販売大手のビッグモーターが世間を大きく騒がせている。次々に不正が明らかになっているが、なぜこのようなことが起きたのか。中古車販売のビジネスモデルにも問題があって……。
交換不要なパーツまで交換したり、交換していないパーツを架空請求したり、新品だと偽って中古パーツを使用してその差額を稼いだり。損保会社に対する不正という問題だけでなく、修理を依頼した顧客をだまし、さらには翌年の自動車保険料の上昇分を自動車ユーザー全員に負担させているのである。
それにしてもSNSが普及した現在、このような大々的な不正行為がいつまでも続けられると思っている感覚が、もはや異常だとなぜ気付かないのだろう。関係した損保会社の危機管理能力の低さにもあきれたものだ。
今回の騒動と公取の価格表示改正で、中古車業界が健全な方向へと是正されればいいが、長年の不文律ができ上がっているような部分を変えていけるのか。今後数年の中古車業界の動きを見ていきたい。
筆者プロフィール:高根英幸
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。近著に「ロードバイクの素材と構造の進化(グランプリ出版刊)、「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。
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