変わるアニメの“稼ぎ方” 23年のアニメ制作市場、初の3000億円超えの可能性も:帝国データバンク調べ(2/3 ページ)
多くのヒット作に恵まれ、アニメ制作の市場規模は3年ぶりに回復しつつある。帝国データバンクが調査を実施した。
IP事業収益が中堅元請にまで拡大
制作態様別でみると、直接制作を受託・完成する「元請・グロス請」の平均売上高は16億6700万円。前年(15億5300万円)を上回り、2年ぶりの増加に転じた。業績面では「増収」が54%、「減収」は25%と21年から15ポイント低下した。損益面では「増益」(49%)が過去20年で2番目に大きかった一方「赤字」は34%で、元請間における収益力の二極化がうかがえる。
これまで大手が中心だったIP事業の収入は、VOD運営大手との取引増加を背景に中堅元請にまで拡大。一方、自社版権が少ない小規模・新興の元請では、人材不足から受注量を拡大できないケースや、自社での消化能力を超えたことで外注費がかさんだケースも散見され、減益や赤字が多く発生した。自社IPの有無や制作能力の規模によって、元請間の収益バランスに格差が生じている。
下請としてアニメ制作に携わる「専門スタジオ」の平均売上高は3億7200万円で、コロナ禍による制作本数減の影響を大きく受けた前年(3億5700万円)から増加した。業績面では「増収」は39%、「減収」は18%と増収が減収を上回り、特に減収の割合は過去20年で初めて2割を下回った。損益面では「増益」が45%を占めた。
専門スタジオでは、アニメーターの採用や育成、デジタル機材の導入など設備投資を実施。また、CG使用を中心に請負単価が上昇した専門スタジオもあり、全体的な収益力は改善傾向へと向かっている。拡大するデジタル制作分野の事業へ進出・展開するケースもあり、元請の制作動向に左右されない収益構造を目指す動きもみられた。
関連記事
- 従業員の退職による倒産、じわり増加 最も多かった業種は?
帝国データバンクが、従業員や経営幹部などの転退職による倒産について調査を実施した。 - クリーニング店の倒産が急増している「3つの要因」とは? 帝国データバンク調べ
帝国データバンクの調査で、クリーニング店の倒産が相次いでいることが分かった。このペースで推移すれば過去最多を更新する可能性が高いという。 - カフェの倒産が急増 コロナ禍を上回るハイペースで推移、なぜ?
帝国データバンクの調査によると、1〜7月のカフェの倒産件数は44件だった。このペースが続けば、過去最多となった2020年の68件を超える可能性があるという。 - ビッグモーター問題、取引企業への影響は? 帝国データバンクが調査
帝国データバンクは、ビッグモーターのサプライチェーン企業(売上高の1%以上を依存している企業)について調査を実施した。 - 高校生がハマっている漫画 2位『SPY×FAMILY』、1位は?
高校生が今ハマっている漫画とは? LINEが運営する「LINEリサーチ」が調査を実施した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.