わずか1年で会員80万人超え 爆速拡大「chocoZAP」に死角はあるのか(1/2 ページ)
RIZAPグループの初心者向けジム「chocoZAP」が攻勢。店舗の急拡大などで会員数は業界首位の80万人超え。グループの増収にも貢献した。死角はあるのか。
RIZAPグループが運営する、運動初心者向けジム「chocoZAP」の勢いが止まらない。店舗数を爆発的に増やし、ブランド開始から約1年で会員数が80万人を突破(8月15日時点)。同社によると、国内フィットネスジムで会員数日本一を達成したという。グループの直近の決算を見ると、chocoZAPの好調が増収に貢献。先行投資で減益だが、出店の手を緩めないようだ。死角はあるのか。
先行投資で急成長 黒字化のタイミングは
chocoZAPは「コンビニジム」をうたい、着替え不要で1日5分程度からの気軽なトレーニングを勧める。無人運営によるセルフサービス化の代わりに、月額2980円(税別)と安いことも支持される要因だ。2022年7月にスタートし、店舗の急拡大、広告展開によって急成長を遂げている。
決算にも、chocoZAPの好調が見てとれる。RIZAPグループが発表した2024年3月期第1四半期(23年4〜6月期)決算は、売上高が387億2500万円(前年同期比2.6%増)。既存事業や事業譲渡に伴う減収を、chocoZAPを含むRIZAP事業の伸びでカバーしている。一方、営業損失は28億6400万円(前年同期は2億8600万円)。chocoZAP店舗の拡大、広告・販促への投資がかさんだ。純損失は33億2500万円(同8億6200万円)。
RIZAPグループは今を「先行投資期間」と位置付け、出店攻勢の構えを崩さない。chocoZAPは8月14日時点で全国に880店舗あり、26年3月期には2000店舗まで拡大する計画だ。24年3月期までは投資が先行するが、25年3月期にはchocoZAP事業を含むRIZAP関連事業が黒字に転じると見込む。
経営分析を専門とする、矢部謙介氏(中京大学国際学部教授)は「現在のところ、店舗の急拡大と会員の増加で増収となっているものの、1店舗当たりの平均会員数が損益分岐点を超えていないため、chocoZAP事業は赤字になっている。今後の黒字化のためには、損益分岐点を超える会員数を獲得することが必要になってくる」という。
「基本的に24時間ジムは店舗ごとに一定額のコストが発生する固定費型のビジネスであり、chocoZAP事業は直営方式での店舗展開のため、会員数が損益分岐点を超えると高い利益率が見込める」(矢部氏)。店舗数の伸び以上に会員数を伸ばし、1店舗当たり会員数を増やせば、黒字に転じる──というのが矢部氏の解釈だ。
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