「バスケW杯」支える日の丸企業製ボール FIBAと40年の関係:経済の「雑学」(1/2 ページ)
日本のスポーツメーカーであるモルテンが「FIBA バスケットボール ワールドカップ 2023」の公式試合球を手掛けている。大会主催者FIBA(国際バスケットボール連盟)と同社は40年の関係性がある。
日本(沖縄)、フィリピン(マニラ)、インドネシア(ジャカルタ)で共同開催中のバスケットボールの世界一決定戦「FIBA バスケットボール ワールドカップ 2023」(バスケW杯)で、「アカツキジャパン」こと日本代表が、格上フィンランド代表を相手に、W杯で17年ぶりとなる歴史的勝利を挙げた。8月29日、初の1次リーグ突破をかけ、世界ランク3位の強豪、豪州代表との一戦に臨む。通算19回目となる今大会では、モルテン(広島市)が手掛けたボールが公式試合球に採用されており、日本のスポーツメーカーを代表してピッチ上で大会を支えている。
モルテンは、大会主催団体FIBA(国際バスケットボール連盟)と、W杯公式球を共同開発。4月29日に海外で、5月1日に国内でそれぞれ販売を始めた。価格は1万6830円。
ボールデザインのコンセプトは「The Passions wave」(情熱の波)とした。FIBA史上初の3カ国共催となることから「かつてないほど、多くの人々がバスケットボールに熱狂し、胸を高鳴らせ、心の距離を縮める。バスケットボールへの情熱が一つの鼓動となり、波のように世界中に広がっていく様子を、ハートと波のエレメントで表現している」。モルテンはデザインについてこう説明している。一部に金箔を使用し、試合球デザインを引き立たせる工夫も施しているという。
表皮には同社の従来品とは異なる加工を施し、汗による滑りの抑制を実現している。ボールの企業ロゴ部分に対しても、従来の印刷方法よりも印刷部が滑りにくい「焼印印刷」を採用。印刷面積も約25%小さくし、滑りを抑制するなど選手のプレーの妨げにならない配慮を見せている。
内部構造では、発泡ゴム層を従来品比で約35%増やし、新技術「EVA フォーム」を採用。 これにより、より良いやわらかさを実現し、グリップ性能も向上させたという。いずれも日本国内で猛暑が続く中、高温多湿の沖縄開催に加え、屋内スポーツである競技特性を考慮した仕様となっている。
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