処理水をめぐって“愛国サンドイッチ”の危険性 企業が「日本人」とうまく接する方法:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
日本のホテルや飲食店に、音声読み上げソフトを用いてこんな嫌がらせ電話がかかってきている。原発の処理水をめぐって、バッシングが起きているわけだが、中国ビジネスを展開していくうえで気をつけなければいけないことがある。それは日本人で……。
「ファクト」を発信して終息に向かわせる
さて、そこで問題なのは、処理水バッシングのような出来事で、愛国心に火がついた人たちからの嫌がらせやデマの流布にどう対処すべきか。やはり「ファクト」を発信して終息に向かわせるしかない。
といっても、マスコミはこの手のややこしいトラブルには首を突っ込みたがらないので、自分たちでやるしかない。会社のWebサイトや公式SNSなどで、「いまネットやSNSで一部の人が言われていることはデマですよ、なぜなら……」という感じで客観的な事実を発信するのだ。
発信すれば、すぐにパタリとやむものではないが、ネットやSNSにも良心的な人や、冷静な人たちがいるので、「おい、あの会社、親中とかって言われているけれど、どうもネットのデマみたいだな」という感じで健全な方向へと動くものだ。
その分かりやすい例が、日本端子だ。
もう忘れている人も多いだろうが、21年9月の自民党総裁選時、河野太郎氏の家族が経営する自動車部品会社・日本端子が、中国共産党から「破格の待遇」を受けていて、太陽光ビジネスの利権に関わっているのではないかという疑惑が持ち上がった。
これを受けて、安全保障上にも重大な問題があるとして、河野氏は自民党総裁に相応しくないという批判がネットやSNSで相次いだ。実際にマスコミ記者が河野氏に事実関係を確認するような事態にもなった。
ただ、筆者はこれをすぐに「デマ」の可能性が高いと本連載の中で指摘させていただいた。(関連記事)
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