認知が広がり、成功事例が増えてきた
日本におけるセールス・イネーブルメントの認知はどの程度でしょうか? ブレーンバディの調査(※3)によると「セールス・イネーブルメントという言葉を知っているセールスパーソン」は51.3%、「『セールス・イネーブルメント』が自社に必要」と回答した人は71.3%にのぼりました。営業に携わる方の間では認知が広まりつつあるようです。
※3 出所:ブレーンバディ「【2021年度】セールス組織に関する調査レポートを公開!」
言葉の認知だけでなく、大手有名企業においてセールス・イネーブルメントの成功事例もメディア発信されるようになってきました。
大手企業でのセールス・イネーブルメント導入が進み、その知見が公開され、それをもとに新たにセールス・イネーブルメントに取り組む企業が増える、という循環ができつつあるのではないかと推測されます。海外と同じ流れになるとするならば、日本の導入企業はこれからも増え続けていくでしょう。
海外のセールス・イネーブルメントの導入効果
CSO Insightによると、コロナ前の2019年時点でセールス・イネーブルメント導入企業の割合が61.3%(※4)でした。導入効果についてもさまざまな指標がモニタリングされています。
セールス・イネーブルメントの目的である営業成果の観点で見ると「予算達成率」において、セールス・イネーブルメントの導入企業は、導入していない企業と比べると10.6ポイント(※5) の差があると報告されています。確実にセールス・イネーブルメントの効果がでています。海外では先行して成功事例が多くあり、また、コミュニティを通じて情報交換も活発です。日本においてもこれらの知見が循環し、取り入れる企業が増えていくと考えられます。
※4 出所:CSO Insights「2019 Sales Enablement Report」
※5 出所:CSO Insights「The 2018 Sales Enablement Report」
著者プロフィール:山下 貴宏(やました・たかひろ)
株式会社R-Square & Company 代表取締役社長/共同創業者。
大学卒業後、日本ヒューレット・ パッカードに入社し法人営業を担当。その後、 船井総合研究所を経て、外資系人事コンサルティングファームであるマーサージャパンで人事制度設計、組織人材開発のコンサルティングに従事。その後、セールスフォース・ドットコム入社。セールス・イネーブルメント本部長として、日本および韓国の営業部門全体の人材開発施策、グローバルトレーニングプログラムなどの企画・実行を統括。イネーブルメント部門の規模を4倍に拡張し、グローバルトップの営業生産性を実現。
2019年同社を退社し、セールス・イネーブルメントに特化したスタートアップ、R-Square & Companyを起業。大手企業から中堅企業まで数々の企業のイネーブルメント組織の構築に尽力。イネーブルメント分野の日本での第一人者。
著書に『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』(かんき出版)がある。
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