1泊1室66万円! 長崎県の平戸城で、どんな“体験”を提供しているのか:「富裕層」を狙え! 観光最前線(2/5 ページ)
豪華な“城泊”体験に、外国人富裕層が多く訪れている。2021年4月にオープンした長崎県平戸市の「平戸城 CASTLE STAY 懐柔櫓」は、かつて倉庫として使われていた平戸城の懐柔櫓を宿泊施設化。1日1組限定、1組66万円(税込・サービス料別・食事別)で提供している。どんな体験ができるのか。
平戸らしさを表現した城泊って?
平戸城のある平戸市は九州本土の西北端に位置し、南北に細長く横たわる平戸島と、その周辺に点在する大小およそ40の島々から構成されている。自然に恵まれた美しい島として親しまれ、観光客も多い。福岡(博多)、または長崎からクルマを使って約2時間でアクセスできる。
平戸城の城泊は、観光資源の創造や地方創生を目的に平戸市が始めた新事業だ。観光庁が20年から設けている制度「観光振興事業費補助金(城泊・寺泊による歴史的資源の活用事業)」も活用しつつ、総額で約1億2000万円をかけて懐柔櫓を改修した。
さらに、平戸市の公募によって選ばれた狼煙社(のろし、長崎県平戸市)が、城泊を運営するための内装工事を行い、運営を担っている。狼煙社の鞍掛斉也(くらかけ・せいや)CEOに、平戸城の城泊のコンセプトや反響を聞いた。
同施設は2階建で、リビングダイニングルーム、ベッドルーム、和室コーナー、ウッドデッキなどを備えている。宿泊は5名までとなる。
かつて南蛮貿易の中心地として繁栄した歴史を踏まえ、内装のテーマは伝統とモダンを融合させた「和洋折衷」としている。
インテリアの基調は、桃山時代の後期に盛んになったデザイン性の高い「琳派」(りんぱ)をイメージ。蝶や桜の壁画は、琳派の画家で蝶を中心に生態系を描く九州出身の小松孝英氏が描き下ろした。
3面ガラス張りのバスルームからは海が見渡せる。ゲストは季節や時間によって変わる景色を楽しみながら、非日常のバスタイムに浸れそうだ。
食事は、平戸島が誇る海の幸や平戸牛をメインにした創作フレンチのフルコース(夕食)と和食(朝食)を提供している。事前にゲストの出身国やアレルギー、好き嫌いのリクエストなどをヒアリングして、ときには故郷でよく使われる食材や調味料を隠し味で使うことも。素材の良さに加え、このような演出も評価される理由だと鞍掛氏は話した。
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