「クレカ積み立て」月額上限5万→10万円に拡大 tsumiki証券“異例の一手”の真意:CEOに突撃(1/3 ページ)
これまで“クレカ積立”は各社横並びで月間5万円が上限だったが、tsumiki証券は業界で初めて月間10万円まで拡大する。なぜ各社ともに月間5万円が上限だったのか。また月間10万円に増加することの意味はどこにあるのか。tsumiki証券の青木正久CEOに聞いた。
日本で初めてクレジットカードを使った投信積立サービスを始めたtsumiki証券が、再び業界初のサービスを開始する。これまで、“クレカ積立”は各社横並びで月間5万円が上限だったが、業界で初めて2024年1月取引分から上限を月間10万円まで拡大するのだ。
しかしなぜ各社ともに月間5万円が上限だったのか。また月間10万円に増加することの意味はどこにあるのか。tsumiki証券の青木正久CEOに聞いた。
「クレカ積み立て」一本でユーザー13万人
クレカ積立は、証券会社にクレジットカードを登録し積み立て設定を行うことで、毎月継続的に投資信託を購入できるサービスだ。支払いはクレジットカードで行われる。これまでも銀行引き落としによる投信積立はあったが、tsumiki証券が18年8月31日に、設立と同時に日本で初めてサービスを開始した。
銀行引き落としに比べ、間にクレジットカードを挟むとどんなメリットがあるのか。ユーザーからすると、クレジットカードのポイントが取得できるのが魅力だ。tsumiki証券では初年度は積立額の0.1%、2年目は0.2%とポイント還元率が段階的に増えていき、5年目以降は0.5%まで還元される。
事業者側の利点はユーザーの囲い込みだ。tsumiki証券は、発行枚数731万枚の小売り系の有力カード「エポスカード」を発行する丸井グループのグループ会社だ。tsumiki証券のクレカ積立もエポスカードでのみ可能となっている。グループ内のカードと証券会社をセットにすることで、継続的な利用を促す狙いがある。
tsumiki証券のサービスはクレカ積立がメインで、現金を入金しての投資には対応していない。購入できる投信も5種類のみで、個別株なども取り扱っていない。これだけサービスが限定されているにもかかわらず、「この5年間で、13万人ものお客さまにご利用いただき、預かり資産残高では8月末に281億円に達した。着実に規模を拡大している」(青木CEO)と好調だ。
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