「シン・ナウシカ」「実写版 トトロ」! ジブリ子会社化でありうるか:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
あのスタジオジブリが日本テレビの完全子会社になる。「これでジブリはアニメ制作に専念できる」といった声が出ているが、本当にそうなのか。企業買収の世界は……。
ジブリの議決権を握ったら
14年、日本テレビは『タイムボカン』シリーズで知られるアニメ制作会社「タツノコプロ」を子会社化した。「リメイクとコンテンツビジネスを戦略的に展開」(日本テレビプレスリリース 14年1月29日)できると考えたからだという。
ただ、これはかなり用意周到に進められていたプロジェクトだった。実は子会社化するはるか前から日テレは、タツノコプロが持つ「資産」を狙って外堀を埋めていたのである。
「日本テレビは、2009年に映画『ヤッターマン』で30年振りのリメイクを成功させ、『科学忍者隊ガッチャマン』のリメイクについては、情報番組『ZIP!』内のアニメコーナー『おはよう忍者隊ガッチャマン』の放送から昨年8月の劇場映画公開まで、2年をかけて取り組んでまいりました」(同プレスリリース)
『ヤッターマン』は制作委員会に「日本テレビ放送網」が名を連ねており、06年から『news zero』のキャスターを務める“日テレファミリー”の櫻井翔さんが主演している。またアニメ『ガッチャマン』も同様に日テレグループが制作に関わり、『ZIP!』の中でしつこいくらいずっと猛プッシュしていたのを覚えている人も多いだろう。
このように歴史を振り返ると、日テレというのは「昔のアニメを現代風に実写映画化したらドカンと大ヒットしねえかな」という思惑が非常に強いと言わざるを得ない。そんな会社がジブリの議決権を握ったらやることはひとつしかないだろう。
そんな「リメイク、実写化戦略」と並行して、日テレが今後進めていくと予想されるのが、「テーマパーク戦略」だ。
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