「本当にやばいと思った」 生成AIの衝撃とどう向き合うか、リーガルオン社長に聞く(1/3 ページ)
ChatGPTを始めとする生成AIの登場は、世の中に大きな変化と衝撃をもたらした。LegalOn Technologiesの角田社長は「ChatGPTを初めて試したとき『これは本当にやばい』と思いました」と話す。ビジネスの在り方を揺るがす生成AIとどのように向き合うのか、話を聞いた。
ChatGPTを始めとする生成AIの登場は、世の中に大きな変化と衝撃をもたらした。
要件を投げかけると、すぐさま文章や画像を生成する。まだ回答の正確性が担保されているとは言い難いが、日ごとに進化するその技術に驚き、ビジネス変革の可能性を感じた人も多いのではないだろうか。
AIを軸にサービスを展開するベンダーも例外なく、この技術革新に衝撃を受け、対応に迫られている。
「ChatGPTを初めて試したとき『これは本当にやばい』と思いました。この技術を応用すれば、われわれが一生懸命培ってきた競合優位性が失われてしまうかもしれないという危機感がありました」と話すのは、LegalOn Technologiesの角田望社長だ。
「プラスの影響もマイナスの影響も生じる」と考えたものの、プラスの影響に賭け、主力製品であるAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」にいち早くChatGPTを取り入れた。
本記事では、ビジネスの在り方を揺るがす生成AIとどのように向き合うのか、角田社長に話を聞いた。
AIが「仕事を代わりにやってくれたら」 起業は純粋な願いから始まった
LegalOn Technologiesは、2017年創業。企業が契約を結ぶ際の審査業務をAIでサポートするLegalForceを始め、法務関連の業務に役立つAIサービスを提供している。22年6月には、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2をリード投資家とし約137億円を調達し話題となった。
創業前、角田社長は弁護士事務所で働いていた。当初は起業を考えていなかったが、あるニュースがきっかけとなり起業を意識し始める。それは15年の、ディープラーニング技術を用いた囲碁プログラムのAlphaGo(アルファ碁)がプロの棋士を破ったというニュースだ。
「そんなすごい技術があるなら、自分たちがやっている細かい仕事を代わりにやってくれたら助かるのにな、というのが(起業につながる)最初の着想でした。当時はアナログな仕事をしていて、ミスをして怒られるようなことも多かったので」と角田社長は振り返る。
17年、同じ弁護士事務所の同期と2人でLegalForce(現LegalOn Technologies)を立ち上げた。当初からAI契約書レビューには「大きな需要があるだろうと思っていた」(角田社長)ものの、すぐに実用的なサービス開発にはつながらなかった。資金を調達し、8カ月かかって完成した最初のサービスは実務で活用できるレベルではなかった。
サービスの方向性を転換し、再度開発に取り掛かってできたのが、現在も主力製品として展開しているAI契約審査プラットフォームLegalForceのベータ版だ。
「本当に必死で、そのタイミングで出さないと会社がつぶれる、資金ショートするという状況でした。今のような充実したサービスではなくて、契約書をアップロードするとレビューがCSVでダウンロードできるという簡単なものでした。(AIによる回答の)精度も高くありませんでした。そこから少しずつ改良して、今に至ります」
18年12月にブラウザでレビュー結果を表示できる機能を追加、19年4月にはレビュー可能な契約書の類型が10類型を超える。この頃から実務に有用なクオリティとなり、ベータ版から正式リリースへとつなげられた。
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