「本当にやばいと思った」 生成AIの衝撃とどう向き合うか、リーガルオン社長に聞く(3/3 ページ)
ChatGPTを始めとする生成AIの登場は、世の中に大きな変化と衝撃をもたらした。LegalOn Technologiesの角田社長は「ChatGPTを初めて試したとき『これは本当にやばい』と思いました」と話す。ビジネスの在り方を揺るがす生成AIとどのように向き合うのか、話を聞いた。
「迷うことはほとんどない」 先端技術とどう向き合うか
目まぐるしく発展するAIを主軸にした製品を展開するLegalOn Technologiesだが、冒頭に紹介した通り、角田社長はいわゆるIT畑の出身ではない。そんな中で、どのように先端技術と向き合っているのか。
「新しいものが出てきたときに、全てを理解するのはもちろん無理なのですが、少なくとも意思決定を間違えない程度には理解しなくてはいけないなと思っています。気を付けていることは『自分で持ちすぎない』ということです。今回も、米国のチームの提案から開発にいたりました。専門領域ではない部分については、思い切って任せる方がうまくいくんじゃないかと思っています」と角田社長は話す。
「意思決定に迷うことはほとんどありません。意思決定しきれない原因は(1)意思決定に必要な情報が集まっていない(2)自分には判断する能力がない(3)考えるための時間がないという3つくらいに収斂(しゅうれん)されるのではないかと思います。情報が足りないときは集めますし、能力が足りないときはそれに長けている人に聞きますし、時間がないのであれば時間を取るしかありません」
ただし「いつ何について判断しなくてはいけないのか、という課題の特定は難しい」と角田社長は続ける。
「今回のGPTの導入に関しても、米国からの提案タイミングが良く3月には主な開発を終え、5月にはリリースができました。これがなければ、もう少し遅くなって、世間が生成AIに注目をし始めたころに『やばいやばい』と慌てていたかもしれません」と、振り返る角田社長。今何について判断すべきなのかを見誤らないことが最も難しく、重要なポイントだ。
「テクノロジーの産業に身を置く以上、技術革新についてはいち早くキャッチアップして、向き合い続けていかないといけないなと心から思います。それをいかに取り入れて、顧客に役立つものに変換して届けられるかが、僕らの使命だと思っています」(角田社長)
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