「会社の本気を示す」 3つのプロセス
まず1つ目の「危機感を高める」ですが、組織改革の実際の場面で必要かどうかはケースバイケースです。「このままでは事業の存続が危ない」ような、従業員からみても分かりやすく強い危機感がある場合は、その危機感を起点に組織改革を行っていくことになります。
一方で、長時間労働削減というテーマは元々、働き方改革関連法や長時間労働への法対応といった「外圧」の影響を受けています。これ以外にも、働き方改革やDE&I(ダイバーシティ エクイティ アンド インクルージョン)、女性活躍推進、人的資本開示に伴うエンゲージメント向上といった数々のテーマは、「外圧」をきっかけにして始まることも多いです(もちろん自社内の必要性によって始まることもあります)。
テーマの性格上、先に「時間外労働〇%削減」といった数値目標だけが一人歩きしがちなことも特徴です。よって、テーマの性格上、「危機感を高める」というのが容易ではない改革が多いことを踏まえて推進した方がいいでしょう。
では、このような状況の下で「会社(や組織)の本気を示す」には、どのように行動すべきなのでしょうか。方法はさまざまですが、おすすめするのは、経営層が「そのテーマの優先度が高いことを継続的に言い続けること」「改革に必要な支援を行うことを表明すること」です。
本気を示すという話をすると「経営層や企画推進部署は長時間労働の改善を真剣に考えてくれない」などと、“思い”を大事にする方もいらっしゃいます。しかし、実際に改革が進むかという意味でいうと、思いよりも行動が大事です。
組織改革を実際に行う各組織の管理職やメンバーは、取り組みの途中ではしごを外されることを懸念します。特に管理職の皆さんは、組織に期待される役割を果たしてきたことで、今のポジションにあります。よって、経営層から何に優先順位を置いているかを明確にしてもらえると、各組織でも取り組みに注力しやすくなります。また、全社に向けて「改革に必要な支援を行うと表明すること」は、何よりも会社の本気を示すことになります。
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