10カ月で491店舗に! ラーメンの無人販売所が急拡大している理由:あの話題は今(3/4 ページ)
ラーメンの無人販売所が増えていることをご存じだろか。その名は「日本ラーメン科学研究所」。オープンして1年がたっていないのに、店舗数は500店を超えた。なぜ急ピッチに増えているのかというと……。
味覚センサーを使ってレシピを調整
外で食べるラーメンは、おいしいところが多い。一方、スーパーやコンビニで並んでいるカップラーメンはどうか。話はちょっと違うが、缶コーヒーを飲んだ人から「この味はカフェのコーヒーと違う。お金を返してくれ!」といったクレームを聞いたことがない。同じように、カップラーメンを食べて「人気ラーメン店と味が違う。時間を返せ!」と大声を出す人も目にしたことがない。
外で食べるラーメンとカップラーメンについて、消費者は「別モノである」ことを認識している。ただ、ラーメンについては「生タイプ」もある。スーパーやコンビニなどで、名店の味を再現した商品が並んでいるが、食べたことがある人は次のような印象をもっているかもしれない。「そこそこおいしい。でも、やっぱり店で食べるほうがおいしいよね」と。研究所が狙っているのは「その差」である。
おいしいラーメンを家で食べられるようにしたい――。これを実現するために、ラーメンを構成する麺とスープを何千通りも組み合わせた。「ああでもない。こうでもない」などと言いながら試作を重ねていく中で、「なにかが足りないなあ」と感じれば味覚センサーを使って分析することに。甘味やうま味などを数値化する機器で、塩味が足りないなとなれば、レシピを調整するといった流れで商品を完成させたという。
こうして、ラーメンはできあがった。1号店(小金井店)の反響は、どうだったのか。雪松の店舗で販売するにあたって、担当者はこのようなことを考えていた。「冷凍ラーメンをつくったものの、どのくらい売れるのか」と。試験的に始めたところ、想定以上にお客がやって来たという。
行列ができることもあったり、売り切れることもあったり。こうした姿を目にした担当者は「これはいける! 店舗を積極的に増やしてもいいのではないか」と感じた。店で使う冷凍の什器を用意して、食材を確保して、自販機を契約して。準備不足は否めなかったが、年明けから店舗数を増やすことに成功する。
「増やすことに成功」と言葉にするのは簡単だが、甘い世界ではない。ただ、ここで知見が生きてくる。「雪松をオープンさせて、その後、急ピッチで店舗数を増やしてきました。どうすれば増やせるのか、その経験があったので、ラーメンの店舗数も増やせました」(担当者)と振り返る。
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