メタが「Quest 3」に込めた野心 どう進化するのか?:本田雅一の時事想々(2/4 ページ)
メタが発表した「Quest 3」。「お買い得なVRゲーム機」として一定の成功を収めているQuestシリーズだが、その先にはどんな未来を見据えているのか。イベントでは、AI技術などを取り入れた、コミュニケーションサービスの大きなイノベーションが感じられた。
同じ目的地に異なる方向からアプローチするアップルとメタ
MRデバイスといえば、6月にアップルが発表したApple Vision Proが大きな話題になっている。筆者も実際にそのデバイスを使う機会があったが、Quest 3とはよく似た体験をもたらすデバイスである一方で、開発のアプローチは全く異なる。
価格が5〜6倍も違うのはもちろんだが、最も異なるのはハードウェア開発のアプローチの違いと、最終的な目的に向かう際に重視しているコンセプトの違いだ。
Vision Proは「空間コンピュータ」を標ぼうし、ユーザーが存在する空間に平面的なディスプレイパネルから、3D空間に構築されたコンテンツまで、多様な表現手法でアプリケーションとインタラクションする、次世代の汎用コンピューティング基盤を提供しようとしている。
一方でメタが重視しているのは、人と人が現実空間と仮想空間が混在する世界でコミュニケーションする場を作ること。それこそが「メタバース」ということなのだろうが、もともとがコミュニケーションサービスであるSNSを出発点にしており、メタらしい。
Vision ProとQuest Proは、いずれもユーザーが置かれている周囲の情報を収集し、デジタルデータとして再構成、立体的にディスプレイ上に再現する(パススルー映像)という点は同じだが、Vision Proは可能な限り「ゴーグルを装着していない」かのような高い再現性を目指している。
一方、Questも品質の向上を目指しているものの(実際、Quest 2の10倍以上、Quest Proの3倍以上のパススルー画素数)、ゲームや映像作品を楽しむためのエンターテインメント端末として、より多くの人たちに使ってもらうことを主眼に作られている。
それは価格の違いでもあるが、究極の目標に向けたアプローチの違いだ。
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