新幹線の部品が金属バット、スーツケースに変身 「アップサイクル」が進む背景:経済の「雑学」(1/2 ページ)
金属バットやスーツケースなど、古くなった東海道新幹線のアップサイクルの商品が相次いで登場し、人気になっている。アップサイクルの認知は道半ばだが、ファンを多く抱える企業を中心に浸透しそうだ。
東海道新幹線のアップサイクル(再利用)商品が相次いで登場している。JR東海とミズノは、車両のアルミをリサイクルした子ども用の金属バットを発表した。旅行かばんなどで知られるエースラゲージ(大阪市)も、新幹線の廃材をスーツケースや座布団などに作り変えて発売。消費者によって環境意識に差があり、アップサイクルの浸透は道半ばだが、ファンを多く抱える企業を中心に進みそうだ。
JR東海とミズノが共同開発した金属バットは、東海道新幹線N700系の車両をリサイクルしたものだ。アルミを新しく製造する場合と比べると、CO2排出量を97%削減でき、環境への負荷を軽減できるという。発売本数は1400本限定、価格は1万4300円だ。
発売は10月だが、予約の状況は好調だという。「新幹線バットは新規購入者の割合が非常に高く、初回購入と非会員の購入が全体の約90%を占めています。鉄道ファンからの購入が多いのではないかと考えています」(ミズノの広報担当者)
エースラゲージも、東海道新幹線N700系typeAのシートを再利用。スーツケース(6万2700円から)やアイマスク(9900円)、座布団(1万3200円)などに加工して販売している。新幹線のシートの素材は、上質な見た目で触り心地もいいベルベッドやビロードと呼ばれる生地だ。座席から取り外した生地を洗浄、平面に戻して裁断し、縫製している。
近年、廃棄予定だったものを価値のあるものに作り変える「アップサイクル」への関心が徐々に高まっているが、浸透は道半ばだ。
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