ブルボンの「食べられるストロー」 開発きっかけは「とある菓子」:15〜30分の耐水性(1/2 ページ)
ブルボンは、食べられるストロー「コロネクッキー」を発売した。現在、ファミリーマートの一部店舗で取り扱っている。実はブルボンが業務用に販売してきた「とある菓子」に着想を得ているというが……
環境配慮の観点から昨今、カフェやレストランで紙ストローが積極的に採用されるようになった。しかし、消費者からは「ふやける」「ドリンクがまずく感じる」といった不満も出ている。環境とおいしさの両立はできないものか。
そこで立ち上がったのが大手菓子メーカーのブルボンだ。同社は2020年1月、業務用にストロータイプのクッキー「コロネクッキー」を開発・販売した。23年8月からは、ファミリーマートの一部店舗(北海道・東北・関東の約2000店舗)にて数量限定で展開している。
コロネクッキーはストローのような棒状の見た目の甘さ控えめなクッキーだ。実際にストローとして冷たいドリンクを飲む際に使用でき、ストローとしての役目を終えた後は食べられる商品となっている。15〜30分間の耐水性を持ち、シェイクやスムージーなどのドリンクでも使用可能だ。
同社の担当者は「プラスチックごみによる海洋汚染への社会的関心の高まりを感じて開発を始めた」と話す。実は、ストローのような吸い上げ機能を付加するための素材選びをする中で、同社が販売している「とある菓子」に着想を得たらしい。
コロネクッキー誕生のきっかけとなった「菓子」とは?
きっかけとなったのは「チュエル」という商品だ。香ばしいうす焼きクレープをクルッと巻き上げ、ミルクチョコレートを詰め込んだ中空のスティッククッキーで、手を汚さずにチョコレートを食べられる点が特徴となっている。
さまざまな素材を検討する中で、チュエルを含む同社のビスケット製造技術を応用して形状の加工性や吸い上げ機能の維持などの検証を繰り返した。特に生地の成型と耐水性を均一化させる仕上げ製法に多くの時間を投入し、量産化のための製造技術開発にも取り組んだ。
「食べられるストロー」というコンセプトにもあるよう、機能面だけでなく「味」も意識した。ドリンクの味を邪魔せず、使用後もおいしく食べられるようにしているという。
関連記事
- レジ袋有料化の“二の舞”か プラ削減のために導入した「紙ストロー」が別の環境問題を引き起こすジレンマ
2022年は「プラスチック削減元年」と言っても過言ではないほどに紙ストローが普及した。環境に配慮した取り組みのようだが、レジ袋有料化同様に紙のほうが本当に環境負荷が小さいのか? という疑問が消費者の中で渦巻いているように感じる。紙ストロー移行は本当に意味があるのかというと…… - ブラックサンダー「児童労働ゼロ」へ王手 取引先の「難しい」を突破した意志
ザクザク食感が特徴の大人気菓子「ブラックサンダー」を販売する有楽製菓は、2018年から商品に使用するカカオ原料を、児童労働に頼らないものに切り替えるプロジェクトに取り組んできた。その道のりは平たんではなく、主要取引先から断られることもあった。どのような道のりを経て、児童労働ゼロを達成しようとしているのか。 - 小売マーケの限界突破か サツドラ、AIカメラ×広告で売上が1.6倍に
北海道内で2位の店舗数を誇るサッポロドラッグストアは、新しい店舗体験の構築に乗り出した。AIカメラでの取得データとPOSデータを掛け合わせた広告を展開している、新しいチャレンジを取材した。 - 広告が流れる「個室トイレ」が増えてきた 伸びしろ十分だが、まだ課題も
じわじわと「電子広告」を設置するトイレが増えてきている。個室トイレという情報の空白地帯を狙った情報発信だ。伸びしろ十分だが、まだまだ課題もあるようで…… - なぜ人は「ゼルダの伝説」にハマるのか? マリオのユーザー体験と比較して分かったこと
5月12日に発売された「ゼルダの伝説」の最新作が、発売たった3日で世界販売本数1000万本を突破した。30年以上も愛されるゲームの魅力とはなにか? なぜ人は「ゼルダの伝説」にハマるのか? ユーザー体験(UX)の観点からひも解いていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.