ブルボンの「食べられるストロー」 開発きっかけは「とある菓子」:15〜30分の耐水性(2/2 ページ)
ブルボンは、食べられるストロー「コロネクッキー」を発売した。現在、ファミリーマートの一部店舗で取り扱っている。実はブルボンが業務用に販売してきた「とある菓子」に着想を得ているというが……
どれくらい売れているの?
ブルボンが初めて業務用にコロネクッキーを発売したのは20年1月。現在までの販売本数や取引社数といった実績は「非公開」とのことだが、新型コロナウイルスの影響が和らぎ外食産業が回復傾向にあるため、採用は増えてきているという。
ブルボン担当者は「環境問題やSDGsに積極的な飲食店や、『ストローが食べられる』という体験をお客さまに楽しんでもらいたいと考えるユーザーに採用されています」と話す。身近なところから始められる環境対策として一役買っているようだ。
8月にはファミリーマートの一部店舗でも販売を開始。一般消費者も気軽に手に取れるようになった。店舗で販売している「ファミマカフェ」のドリンクと親和性が高く、相乗効果が期待できるという考えから導入に至ったという。
コロネクッキーは「プラスチック削減への関心は高いが、紙ストローの使用感は苦手」という層に支持される商品として成長が期待できそうだ。しかし、継続的に売り上げを伸ばしていくためにはそれ以外の層にも利用してもらう必要がある。
ブルボン担当者は今後の取り組みについて「イベントなどでのコラボレーション企画やドリンクメニューにおいてコロネクッキーを体験いただく機会を作れればと思っています。その他にも身近で実行できる環境対策として、さまざまな提案をしていきたいです」と話した。
実は「食べられる○○」はじわじわ増えてきている。20年にはアサヒビールが丸繁製菓と食べられるコップ「もぐカップ」を開発し、「使い捨て容器」から「使い食べ容器」という新しい食のスタイルを提案した。ミニストップも23年6月、ソフトクリーム提供時の使い捨てプラスチックを「食べるスプーン」に変更した。一部店舗での実証実験で使い勝手や利便性などを検証し、改良版での提供を開始した。
廃プラスチックの環境問題が世界的に深刻化しており、プラスチック製容器などの使用や廃棄対策、代替素材への切り替えなどが求められている。世界的な要請に応えるのはもちろんだが、食の根源的価値である「おいしさ」「楽しさ」が損なわれないような工夫で食卓を彩り続けてもらいたい。
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