「一風堂」監修のラーメン店が人気 人通りが少ないところで、なぜ?:週末に「へえ」な話(2/3 ページ)
秋田県男鹿市といえば「なまはげ」で有名だが、人口減に悩まされている。駅前のにぎわいはすっかり消えてしまったが、今年の7月にラーメン店が誕生した。その背景を取材したところ……。
ラーメンは共同開発
ラーメン店は、23年7月にオープンした。場所は男鹿駅の近くで、店の名前は「おがや」。メニューは「男鹿塩ラーメン」(920円)のみ。
このような話を聞くと「でも駅前ってさびれているんでしょ。人があまりいない場所で店を開いても、たいしてもうからないでしょ」などと思われたかもしれないが、いまのところ順調に運営しているようだ。
オープン日は営業が始まる前にもかかわらず、店の前に30〜40人ほどが並んだ。「普段、男鹿の駅前は人がほとんどいません。そういった環境なのに『どこから人が来たんだろう?』と思えるくらい次々に来店していただきました」(岡住さん)と振り返る。
以前はあったけれど、いまはない。そんなところにラーメン店ができたので、興味本位で来店した人が多かったのかもしれない。ご祝儀相場のような形で、しばらくは「どんな味なのかな?」といった人が訪れるかもしれない。しかし、一巡すると、落ち着いて、やがて閑古鳥が……。といったケースも想定されるが、この店は違ったようだ。
オープンしてから2〜3カ月がたっても、営業が始まる前から行列ができることも珍しくない。営業時間は午前11時からで、スープがなくなり次第終了となる。平日で50杯、週末に100杯ほどを仕込んでいるが、2〜3時間で完売することが多いそうだ。
閑散とした場所に、なぜこれほど多くの人が訪れるのか。先ほど紹介したように、住民からの「食べたい」という声を聞いて、準備を進めていたわけだが、その途中である人と出会う。ラーメンチェーン「一風堂」を運営する力の源ホールディングスの幹部だ。
岡住さんはその人に「ラーメン店を始めようと思っているんです」と伝えたところ、「なんでも聞いてよ」と言われ、話はとんとん拍子に。秋田と男鹿の食材を送ったところ、「試作品ができたよ」との連絡が入る。本社がある福岡市に到着すると、目の前に塩ラーメンがでてきた。早速、口の中に含んだところ「おいしい!」という声が自然に出てきたそうだ。
その後、味を調整して、看板メニューの「男鹿塩ラーメン」が生まれた。いわゆる共同開発になるわけだが、店内を見ても「一風堂」の名前を目にすることはない。「資本関係がないのに、店内に『一風堂』さんの名前があれば、チェーン店のように思われるかもしれません。サポートはしていただいていますが、そこはきちんとわけて運営しています」(岡住さん)とのこと。
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