連載
長文の技術資料を“数十秒”で確認可能に アサヒビールの生成AI活用法:生成AI 動き始めた企業たち(2/2 ページ)
連載「生成AI 動き始めた企業たち」第12回は、アサヒビールを取り上げる。同社は9月から、生成AIを用いた社内情報検索システムの試験導入を始めた。新たな技術をどのように業務に生かしているのか。
Q. 自社の競争優位性をどう確保するか
生成AIの技術発展が著しい中、同技術の適切かつ有効な試行は、業務効率化にとどまらず、潜在ニーズの掘り起こしや理解にもつながり、その期待に応える商品開発やサービスの創造につなげられる可能性が高いと考えています。早期の試行を通じて適応範囲を理解することで、正しく活用する方法を確立し、顧客の嗜好性やインサイトを理解し、新しいサービスの提供を目指します。
Q. 生成AIがもたらすリスクと対処法をどう考えるか
生成系AIは誰もが使えることを鑑みると、誤情報や倫理的に問題のある情報が今以上に世の中に広がると考えています。その中で、情報の発信側としても受け手側としても、情報に対する信頼度への重要性の認識を強める必要があります。
また、利用上の著作権や個人情報などについてのルールが明確になっていないため、政府や業界の動向に注意していく必要があります。また、社内においても、ガイドラインや利用者の教育が必要だと考えています。
Q. 生成AI開発に関するルール整備をしているか
上位組織であるAGJ(アサヒグループジャパン)で社内ルールの整備が行われ、全社において利用を禁じるのではなく、利用時の注意点を共有する形をとっています。加えてIT部門よりマーケティング本部向けに、生成AIにインプットしてはいけない情報や生成物の利用方法、利用自体のリスクについて、講義をしてもらいました。
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