生成AI、電力会社はどう向き合う? 九州電力の活用法:生成AI 動き始めた企業たち(2/2 ページ)
電力業界の中でいち早く、生成AIの全社導入を始めた九州電力。これまでも自社設備の保守や維持管理にAIを活用し、ノウハウを有する。これから生成AIの活用にどんな道筋を描いているのか。
Q. 自社の競争優位性をどう確保するか
生成AIを上手に使うためにはコツが必要であるため、全社員の活用スキルの向上が不可欠と考えています。日常的に使い続けることで、そのスキルは向上するため、全社員が上手に使うことができるよう、教育や社内への情報発信などにより、活用を推進していきます。
並行して、日々驚くようなスピードで変化している生成AIの情勢を踏まえ、継続して情報収集を行い、当社にとっての最適ツール・活用方法を検討していきます。具体的には、例えば社内規定やマニュアルなどに対して生成AIと連係して回答するチャットボットのように、自社データを活用することで、より業務の生産性向上に貢献が可能なAIの導入・開発を行います。
Q. 生成AIがもたらすリスクと対処法をどう考えるか
AIが入力情報を学習することにより、個人情報などが漏えいするリスクがあるため、情報セキュリティ対策を徹底する必要があると考えています。また、AIから得られる回答結果が必ずしも正しいものとは限らず、倫理的に不適切な回答や、知的財産権の侵害となる回答が生成される可能性があるため、得られた回答について、利用者が責任を持って、根拠や裏付け確認などを行うことが大切だと考えます。
Q. 生成AI開発に関するルール整備をしているか
生成AIの全社導入にあたって、「生成AI活用ガイドライン」を取りまとめました。ガイドラインには、生成AIの概要や整備したツールの基本的な使い方、使用にあたって留意すべき事項や禁止事項を簡潔にまとめています。
また、分かりやすさの観点から、ガイドラインとともに解説動画を作成するなどの工夫を凝らしています。
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