10年で店舗数5倍、1000店舗突破 「ドミノ・ピザ」拡大術とは(2/3 ページ)
「ドミノ・ピザ」の国内店舗数が1000店舗を突破した。国内の業界では初めての快挙。運営元のドミノ・ピザ・ジャパンによると、10年前の店舗数は200店舗余りにとどまっていたという。いかにして同社は店舗数を急拡大できたのか。
重点エリア設定、重複OKの積極出店 コロナ禍も追い風に
1つ目の理由がチャレンジングな出店だ。同社はまず、都市部の東京・大阪・福岡を出店強化エリアに指定。エリア内の路地裏に位置する店舗を、一気に大通り沿いに移転することで、店舗に対する消費者の視認性を高めた。
その後、需給予測などを踏まえ、強化エリア内で、近距離での出店を加速させた。一見すると「店舗の乱立で、系列店舗同士で競争し合い、共倒れになるのではないか」と思われるが、同社はデリバリー専門店。同社は広報担当者は「近い範囲で店舗が重複したとしても、利用者視点で考えると、デリバリーに要する時間が短縮できる。利用者の利便性を考えて実行した」と説明する。一度使ってもらい、利便性を感じた場合は、継続的に使いたくなるという消費者心理を捉えた手法だ。
強化エリア以外では、コロナ禍のデリバリー需要の高まりとともに店舗展開を進め、21年12月に最後の未出店エリアだった島根県に初出店。全47都道府県を制覇した。出店場所に関しては、SNSの反応など利用者の意向も一部反映しているという。
「持ち帰り半額」「ピザ無料」 常識外れの限定キャンペーン
2つ目の理由が、常識外れの限定キャンペーンを続々と打ち出したという点だ。代表例が「ピザ無料」と「持ち帰り半額」。Lサイズのピザを1枚購入するSサイズのピザを2枚無料にする取り組みは、相次ぐ物価高を背景に好評となった他、国内の宅配ピザ業界で初めて取り組んだ持ち帰り半額の取り組みは、20年6月の開始から3年を迎え、来店の機会増につながっている。
WBC(野球)やラグビーW杯などスポーツイベントに合わせた販促キャンペーンも積極的に展開し、新規利用者の掘り起こしにつなげた。
もう1つの理由が、積極的な商品開発だ。4種のピザを1つにまとめた「クアトロピザ」は、ドミノ・ピザが日本初で商品化し、その後、業界内に広がった。「ピザライスボウル」は、ピザ生地ではなく、米を使った商品として話題に。今や定番商品となった。
こうした商品に加え、「月見クワトロ」など季節やシーンに合わせた限定商品を展開し、利用者増につなげた。北海道産チーズの使用など、地産地消にも積極的だ。
同社のマーティン・スティーンクスCEOはピザライスボウルについて「われわれの売り上げを伸ばした商品の1つ」とした上で「日本の市場は他国よりも市場規模が大きく、特殊。消費者が何を求めているか耳を傾け、ローカライズした商品開発を心がけている」と話す。
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