企画書作り「1週間→1日」に 住友生命の生成AI活用法:生成AI 動き始めた企業たち(2/2 ページ)
住友生命保険は7月から職員約1万人を対象に、ChatGPT技術を基に独自開発したチャットシステム「Sumisei AI Chat Assistant」を導入。これまで作成に1週間を要した企画書が、わずか1日で完成するなどの成果に結びついているという。
Q. 自社の競争優位性をどう確保するか
当社はVitalityを通じ、歩数や心拍数などのバイタルデータや、顧客の健康診断データ、生命保険の支払いに関するデータなど、一般の企業にとって入手が難しいデータを保有しています。この点を強みに、さまざまな企業の保有するデータと当社のデータを掛け合わせて新たな顧客価値を創出することで共創の輪を広げ、WaaS(Well-being as a Service)プラットフォームの実現を目指す戦略としています。健康長寿社会の実現に向けてウェルビーイングサービス領域におけるトップランナーを目指します。
Q. 生成AIがもたらすリスクと対処法をどう考えるか
生成AIに限らず、AIは使い方次第では倫理的な問題を引き起こす可能性があり、その点を利用者が十分理解して適正に利用することが必要です。
これに加えて、生成AIの登場により、ハルシネーション(もっともらしいうそ)や他者の権利侵害など新たなリスク要素が加わっています。国や政府による基準の整備も今後進行していくと認識しています。これらを踏まえて、当社でもAI利活用に関する社内規定を整備しなおし、リスク抑制をしていく考えです。
Q. 生成AI開発に関するルール整備をしているか
政府機関のガイドラインや弁護士による意見照会なども踏まえて、利用ポリシーや禁止事項をまとめたガイドラインを作成し、運用しています。また、勉強会による啓蒙活動を継続的に実施。利用上の禁止事項や注意点を画面上に表示し、不適切な利用の防止を促しています。
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