本記事は、小林幸平氏のnote「優秀なマーケター=外資マーケではもはや、ない理由。現代の優秀マーケターはXXにいる」をITmedia ビジネスオンライン編集部で一部加筆・編集の上、転載したものです(無断転載禁止)。
筆者プロフィール:小林幸平
京都大学大学院医学研究科卒業後、 日本ロレアル株式会社に入社。新規ヘアケア製品ノーシャンプーのプロダクトマネジャーとして新製品の開発および販売戦略立案を担当し、同製品は楽天市場総合ランキング1位を獲得。その後デジタル・イーコマースにおけるマーケティング責任者として事業拡大戦略の立案と推進に取り組んだのち、2019年8月よりメイベリンニューヨークのアジアヘッドクォーターにてリージョナルマーケティングマネジャーとしてビジネス統轄を担う。その後、2021年2月よりノバセル株式会社の執行役員として同社事業を牽引。
また上場企業へのアドバイザリーや、合同会社スモールミディアムCEOとして、D2Cブランドの経営も行う。
公式noteはコチラから。
いろんな会社の経営者やマーケターから質問いただく中で、一番多いのが「優秀なマーケターを採用したいのだけど、どこから引き抜けばいいの?」ということです。これは結構面白いトピックになりそうだなと直感的に思ったので、今日はマーケティングのキャリアについて考えていきます。
まずこの話には続きがあり、多くの場合こういう会話をします。
先方: 優秀なマーケターを採用したいのだけど、どこから引き抜けばいいの?
私: 今はどのあたりに目を付けてるんですか?
先方: やっぱ外資メーカー系ですね。P&G、ユニリーバ、ロレアル、コカ・コーラとかのマーケターを採用したくてアプローチしてますが、全然採用できず……。
私: なんで外資マーケターがいいと思うのですか?
先方: いやそれはやっぱ……すごい人多いじゃないですか? あ、てか小林さんもそこ出身じゃないすか! 誰かいい人紹介してくださいよ!
私: うーむむむmmmm
感覚ですが、60〜70%はこういう着地になることが多いです。
まずこの手の相談を受けた時に必ず伝えているのは、新卒で外資マーケに入るのは日本で40〜50人/年(主要外資消費財メーカーでカウント)なので、中途採用で狙うとすると、かなりレア度が高く、通常の採用ではほぼ不可能だということです。
どうしても、ということであればLinkedInで狙い撃ちするか、知り合いづてで紹介してもらうしか巡り合うのは難しいでしょう。
ただ一方でそれ以上にいつも疑問なのが「なぜ優秀なマーケター=外資マーケターだと思っているんだろう?」ということです。
優秀なマーケター=外資マーケターはウソ? ホント?
それに対する私の仮説ですが、日本のマーケティングキャリアの歴史を作ったのは外資マーケターだから、というシンプルな理由だと思います。
そもそもマーケティングは海外では強いキャリアで、そのマーケティングが社内で重宝される=出世コースであるとされるのが、外資系消費財企業です。それらの会社が、その文化と高いマーケティングノウハウを持って日本に参入したところから、日本におけるマーケティングキャリア論が創られたとすると、日本最古のマーケキャリアの発祥は外資メーカーであり、一番歴史があるので、もちろん一番優秀だと捉えられやすいはずです。
一番歴史のある名門で、歴史あるフレームワークを学んで、それなりの高給で仕事するんだからすごいに違いないと思われるんじゃないかなと思います。
そんな私も8年前の新卒の時は、外資マーケティングキャリアに憧れてそのキャリアを選び、しっかりと出世コースに乗っかって海外まで行っていたので、正直周りから上記のような目で見られ続けてきました。それで得をしていることはたくさんあるので、結構身をもってこの世の中の時流を感じています。ですから、ぶっちゃけこう捉えられるのは、僕にとっておいしいです(笑)。
でも、時代は流れ2023年、「今でも本当にそうなのか?」という、ある意味自己否定的な疑問が頭に浮かびます。
30〜40年前はもしかすると、マーケティングを学ぼうとすると外資メーカーにいかないといけなかったかもしれません。また「守破離」ともいうように、まずは世界の進んだマーケティングを学ぶというのは理にかなっていたと思います。
でも、今はどうでしょうか。マクロでこの数十年のトレンドを捉えると、結構大きく潮目が変わってきたなと感じています。
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