ワークマンは11月16日、2024年4月度から正社員とパートの賃金を平均で5.1%引き上げると発表した。業績的には3%の賃上げが妥当との社内議論もあったが、賃上げによる消費の好循環への期待感もあり、小売企業として「背伸び」をした結果だという。
2%の「賃上げ上乗せ」 背景は?
2%の賃上げ上乗せの背景には、次世代の主力店である「ワークマン女子」の路面出店の活性化がある。同社は「助走期間を抜け出し、次の成長への活路が開けそう」といい、近日中にワークマン女子の新規出店計画も発表する予定だという。
ワークマン女子の出店加速の背景として、同社は以下の3点を挙げる。
- 全国の大型ショッピングモール内での出店が決まり、その店舗を“広告塔”として近隣路面店の集客アップ効果も期待できること
- スーパーマーケットの敷地貸し店舗としての集客相乗効果が評価され、商談が急増していること
- 女性向け商品がヒットしており、条件が多少劣る立地でも単独路面店の出店が可能になったこと
円安で価格改定も「業界最安値は死守」
1ドルが150円に到達する水準の円安になり、PB製品の「価格維持宣言」をしてきたワークマン。ここにきて、価格維持の全面継続が困難になってきたようだ。広報は「赤字になるPB製品から改廃と価格改定に着手する」と話す。同社は、現在の水準の円安が続くと見通している。
具体的には24年7月から、少数の赤字PB通年品の価格を改定するという。季節品については、24年の春夏物の価格は据え置くものの、秋冬物から一部製品の改廃を行う。なお「改廃と価格改定は行っても業界最安値は死守する」と話している。
関連記事
- ワークマン土屋哲雄専務が、社員の平均年収を700万円に上げた理由
「残業しない」「ノルマを設けない」「値引きをしない」「社内行事をしない」――。他社とは真逆の取り組みともいえる「しない経営」を実践し、10年連続で増収、最高益を更新したワークマン。後編では、土屋専務が社員の平均年収を、定期昇給分を除いて100万円以上アップさせた理由を聞く。 - ワークマン土屋哲雄専務に聞く 「4000億円の空白市場」をいかにして切り開いたのか
ソフトバンクグループの孫正義氏に「4000億円のホワイトマーケットをよく見つけた」と言わせた企業がある。作業服の業界で40年間トップを走るワークマンだ。2020年5月以降は常に二桁の成長を実現。11月の既存店売上高は38カ月連続で増えている。同社の土屋哲雄専務取締役にインタビューを敢行。いかにして4000億円という市場を発見するに至ったのかを聞いた。 - ワークマン、ゴルフウェア本格進出 高機能・低価格にこだわる理由は?
ワークマンがゴルフウェア・グッズ業界に本格的に進出する。2023年春夏シーズンのゴルフグッズの品ぞろえをバッグ、ベルト、ボールに拡大。23年度は売上高20億円規模を目指す。 - ワークマン、好調のゴルフウェアで新商品 得意の作業服ノウハウ生かす
ワークマンは、ゴルフで使用するレインウェアやファン付きウェア、シューズなどの4アイテムを発売する。 - ワークマン初のゴルフウェアが発売 防水やグリップ性を重視
同社が得意とする機能性を生かし、低価格で各製品を展開する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.