「AIに怒られた」 カスハラ体験ツール、開発のワケ(1/2 ページ)
「ふざけんな!」「早くなんとかしろ!」――。そう声を荒げているのはAIだ。対話練習ツール「iRolePlay」は、さまざまな人格を持ったAIとの対話を通じて、会話力の向上やカスタマーハラスメント対策ができる。実際に体験し、AIに怒鳴られてみた……。
「ふざけんな!」「早くなんとかしろ!」――。そう声を荒げているのはAIだ。
インタラクティブソリューションズ(東京都千代田区)が開発した対話練習ツール「iRolePlay」は、さまざまな人格を持ったAIとの対話を通じて、会話力の向上やカスタマーハラスメント対策ができる。同社はコンタクトセンターでの研修や教育、また離職防止に生かせるソフトとして、2024年度の本格リリースを目指している。
「iRolePlay」では、AIとどのような会話ができるのだろうか。実際に体験し、AIに怒鳴られてみた……。
AIによるカスハラ 筆者も「怒鳴られて」みた
対話力を鍛える自主トレアプリ「iRolePlay」は、AIとの対話を通じて、提案力の強化や客との深い関係性作り、カスタマーハラスメント対策などに取り組める。「いつでも」「どこでも」対話力を鍛えられるのが特徴で、スマホからも使用可能だ。社内だけでなく、日常での隙間時間にもカジュアルに使えるソフトを目指す。
「短気」「乱暴」「内向的」「ITに弱い」――など多様な人格・タイプが登録されており、いろいろな客を想定した対話ができる。
AIとのトレーニングは、(1)AIとの対話により現状の自身の課題を見つける、(2)AIと一問一答を繰り返し知識をつけ、フリートークモードで説明力、応用力を鍛える、(3)AIが対話の品質を評価し、総評や改善点を含めたフィードバックを行う――の3ステップで構成している。
「AIの共通した評価方法を採用しているため、新人でも一定レベルまで対話能力を引き上げることができます。上司の指導は、iRolePlayの3ステップによるトレーニングを終えた後でいいため、上司の働き方改革にもつながります」(関根潔代表取締役)
iRolePlayでは、音声やテキストデータをドラッグ&ドロップするだけで、すぐに新たな研修プログラムが作成できる。例えば、午前中に起きたトラブルを昼休憩の間にシステム登録しておくと、午後には全員で研修が可能になるのだ。関根代表は「新たなトラブルはいつ起きるか分からないからこそ、スピード感を大切にした」と話す。
「怒りっぽい」人格のAIは、実際にどんな言葉を発するのだろうか。筆者もiRolePlayによるカスハラ対策用のトレーニングを体験してみた。
「昨日までつながっていたインターネットが、今日はつながらない」というAI(客)は、会話が始まった瞬間から感情むき出しで怒鳴ってきた。
コンタクトセンター側のシナリオに沿って名前とお客様番号を尋ねたところ「お客様番号なんて知らねぇよ!」「なんでこんなことも分からねぇんだ!」と強い口調で返されてしまった。
返答に悩むなど少しでも間が空くと「(筆者の)名前を覚えておくからな」「さっさと問題を解決してくれよ!」と、畳みかけるように続ける。その後、AI人格の怒りに共感しながら問題解決へと導くと、AIは穏やかになり、会話は終了した。
このソフトでは、相手の感情を刺激せず適切な情報を提供するという、コミュニケーションの難しい部分を体験できる。練習で心が疲弊しないわけではないが、事前に体験できることで、いざというときの安心感や自信につなげられる。
関根代表は同ソフトについて、コンタクトセンターだけでなく、営業や接客などコミュニケーションが発生する職種全体で活用できると見込んでいる。
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