なぜバーガーキングの店舗数は増えているのか 100店→200店の舞台裏:水曜日に「へえ」な話(3/5 ページ)
「バーガーキング」が快進撃を続けている。ここ数年店舗数を増やしていて、100店舗から200店舗に。ハンバーガーチェーンの撤退が相次ぐ中で、どのようにして増やしたのか。
初期投資が少ないところに
ハンバーガーチェーンが苦戦しているニュースは、まだまだある。JR東日本の駅などで店を構えていた「ベッカーズ」も、11月に完全撤退に追い込まれた。1986年に第1号店がオープンし、ピーク時には40店舗ほど運営していたのに、37年の歴史に幕を下ろすことに。
焼き鳥チェーン「鳥貴族」を展開する鳥貴族ホールディングスもトリキバーガーの1号店を出店していたが、わずか1年8カ月ほどで閉店(他の店舗は継続)。スピード撤退の理由として、同社は「売り上げが想定ほどに至っていなかった」としている(産経新聞 2023年11月14日)。
とまあ、こんな感じで、ハンバーガー業界に激震が走っているわけだが、その一方でバーガーキングは激走している。では、どうやって店舗数を増やしたのか。
バーガーキングは19年5月に不採算店を閉鎖。その一方で、会社は「店をどんどん増やしていくぞー」という号令をかけていた。28年末までに600店舗である。この数字を達成するために、逆算すると、不採算店を閉鎖したからといって「しょんぼり」する時間は残されていなかったのだ。
当時、マーケティングを担当していた野村さんはこのように振り返る。「店舗を増やすといっても、知見が不足していました。これまで積極的に店舗を増やしてこなかったですし、店舗に関するデータも不足していましたし、そもそも物件を交渉できる人材もいませんでした」と。では、どのようにして増やしていったのか。
初期投資が少なく、商業施設やショッピングセンターへの出店である。とはいえ、交渉はスムーズに進まない。例えば、ある店舗の家賃が月100万円だったとしよう。しかし、相場は80万円かもしれないし、交渉すれば70万円まで下がるかもしれない。場数を踏んだ百戦錬磨の人間であれば、ちょちょいのちょいで案件をまとめられるかもしれないが、経験が不足しているので、金額面も含めて分からないことだらけだった。というわけで、交渉にものすごく時間がかかったという。
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