この記事は、白井敬祐氏の著書『経理になった君たちへ』(2022年)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
大会社って何?
大会社とは会社法上の言葉であって、最終事業年度にかかる貸借対照表上に計上された資本金の金額が5億円以上または負債の金額が200億円以上である会社をいいます(会社法2条6号)。
この大会社の定義に当てはまる会社は一般的には会社規模が大きく、株主や債権者、取引先などの利害関係者が多いため社会に与える影響は大きいものと判断されます。よって、会社法はこのような会社にはさまざまな義務を課して利害関係者の保護を図っています。
大会社になると課される義務とは?
具体的には大会社になると以下の義務が課されます。
「4.損益計算書を公告する」は、非上場企業かつ大会社以外の会社は貸借対照表のみを官報などに公告するだけでよいのですが、大会社になると損益計算書も公告する必要が発生するため、より多くの情報開示が求められます。
「5.(有価証券報告書を作成している場合)連結計算書類を作成する」については、上場企業の場合は金融商品取引法の求めに応じて有価証券報告書を作成するため、同じような内容の書類(連結財務諸表)が会社法の計算書類でも必要になります。
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