「LINEヤフー」が市場から評価されないワケは、“サービスの自己矛盾”にある:どうあるべきか(3/3 ページ)
LINEとヤフーが合併したが、市場関係者からの期待感はイマイチだ。その要因は、サービスそれ自体の「自己矛盾」にある――。
LINEヤフーの今後はどうあるべきか?
「中国版LINE」とも呼ばれるWeChatはメッセージングアプリとしてスタートしたが、現在では決済、ゲーム、eコマースなどの多様なサービスを統合して提供している。その結果、WeChatは中国で生活する人々の間で深く根付き、市場で圧倒的な地位を築くに至った。
確かにWeChatがスーパーアプリへと転換する過程で、決済システム、eコマースプラットフォーム、ソーシャルメディア機能など、異なるサービスをシームレスに融合させる上での技術的・UX的な苦労もあった。またWeChatの多角化は、特に金融・決済サービスにおける厳格な規制への対応とセキュリティ基準を満たす必要もあった。
LINEヤフーがWeChatのような成功をつかむためには、今後どのような方向に進むべきかを見極める必要がある。単にコスト削減に頼るのではなく、革新的な技術やサービスの開発、ユーザー体験の向上に集中することが求められてきそうだ。
ただし、すでに巨大なブランドとして莫大(ばくだい)なユーザー基盤を抱える「LINE」「PayPay」「Yahoo!JAPAN」の3つを一気に混ぜてしまえば、同社の「延べユーザー数」は、見かけ上は3分の1になるだろうし、収益の柱が広告ビジネスである以上、広告媒体をまとめて消してしまうことはかなり常軌を逸した決断であることも確かだ。
総じてLINEヤフーHDは、スーパーアプリでわざわざ戦争を起こさなくても、単に既存のビジネスモデルを強化することで安定的に成長する基盤はすでにあるばかりか、ユーザーにとってもそちらの方が用途が明確で使い心地がいいという結果になるかもしれない。
同社に求められているのは、各サービスのユーザーがどのような期待を持っており、それにどう応えていくかというユーザーの求めているものを聞く姿勢にありそうだ。
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