「バカじゃないの?」とも言われた――4℃は「ブランド名を隠す」戦略で何を得たのか:社長が「匿名宝飾店」を振り返る(3/3 ページ)
SNS上で一部ネガティブなイメージが語られ、度々話題を集めているジュエリーブランド「4℃(ヨンドシー)」。9月にブランド名を隠した期間限定のジュエリーショップ「匿名宝飾店」をオープンし、話題に。瀧口社長が「匿名宝飾店」を振り返って感じた手応えは……?
「女性客しか狙っていない」 新ブランドをローンチ
匿名宝飾店を経て消費者の支持を着実に集める4℃が新たなチャレンジに踏み出す。11月27日に新ブランド「KAKERA」をローンチする。
KAKERAは、自然の美しさを体現する鉱物を一つ一つ手仕事で仕立てたジュエリーブランドで、日常に馴染む「あったかさ」を感じさせるデザインが特徴だ。あえてピカピカに磨いていなかったり、あえてグレーのダイヤを使ったり、何億年もの時を重ねてきた鉱物そのものの魅力にフォーカスした。
「世の中は本当に多様化しています。昔のように、ヒットラインを作って、同じものをどんどん売っていく時代ではなくなりました。
ジュエリーはなかなか新しいものが生まれにくい業界です。最高級のダイヤモンドの輝きだけが全てじゃないという、一種のアンチテーゼを打ち出していこうというブランドです」
価格は「手に届く価格」を追求し、3万2000円前後で設定する。
新ブランドについて、瀧口社長は「ギフトでの購入は一切考えておらず、自分用での購入のみを見据えている」と話す。KAKERAはオンライン限定で販売するが、リボンなどのラッピングは準備していない。
「今回は女性の自家需要しか考えていません。ご自身で選んでいただき、ご自身に身に付けていただく――お守りのような存在になれたらと考えています」
現在4℃の購入者は、女性よりも男性の方が多いのが特徴だ。瀧口社長は「全社として女性客を増やしていく」と意気込む。
「女性が支持してくれれば、そのお客さまが男性を連れて、カップル来店が増えていきます。その後、男性が指名買いでお一人で来店する――というサイクルを生み出すことができます」
クリスマスに向け「前年比130%」で推移 今後の戦略は?
匿名宝飾店、KAKERAのローンチ……新たな取り組みを次々に講じる4℃。その影響は売り上げにも表れている。今年のクリスマスシーズンに向けて「現状前年比130%で売れている」といい、好調な様子がうかがえる。
「今、商品を買う理由はモノからコトへ、コトからイミへと変化していると感じています。ジュエリーは置物でも展示品でもありません。幸福、自信、愛着――身に着けていただけるお客さまのインナーに何を届けられるかが重要です。
今後もとにかく挑戦するブランドとして、新しい商品をどんどん送り出していきたいですね。多種多様になっているお客さまのニーズに応えられるよう提案を続け、ブランドを広げていきます」
「コロナ禍や業績の影響を受け、原点に返ることができたと思っています。大手としてではなく、むしろスタートアップのチャレンジャーのように、原点に返って新しいことをたくさんやっていこうと思います。これからもっと変わりますよ」(エフ・ディ・シィ・プロダクツ 瀧口昭弘代表取締役社長)
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