【12月から】アルコールチェック義務化いよいよ開始、見落とせない3つのポイント:「総務」から会社を変える(2/2 ページ)
いよいよ12月、社用車利用時の機器を使ったアルコールチェックの義務化が始まる。すでに目視での確認は施行されているが、さらに厳密なチェックが求められる。新たな安全運転管理業務が追加され、安全運転管理者である総務の担当者は戦々恐々としているかもしれない。義務化の概要と、見落とせない3つのポイントについて解説する。
アルコールチェック 見落としてはならない3つのポイント
上記がやることの詳細ではあるが、この運用フローの中で、見落としてはならないことが、以下の3点である。
- 機器:必要な数が、必要な時に、適切に使えるか
- 運用:あらゆる想定がされているか、対処されているか
- 規則:社内免許制度の体系化がされているか
重要なのは、利用者目線、現場管理者目線という全ての目線で考えることである。
まずは、アルコールチェックに必要な機器の選択についてである。
据置型と携帯型が存在する。据置型は大型であり、高価ではあるが、高精度で確認ができる。管理者の前で検査することになるので、不正防止が確実にできる。ただ前提としては、車両使用者と安全運転管理者が必ず出社する、ということが条件である。一方で、利用する車両使用者が多くなるので、その機器が故障するとなると、多大な支障が生じる。故障時対応をしっかりと考えておくことが大変重要となる。
一方で、車両使用者が直行直帰の場合は携帯型となる。車両ごと、あるいは個人ごとに貸与し、機器の活用から機器の管理を現場ですることになる。性悪説に立つと、スマホ連動により、なりすましや無実施などの不正防止は検討しておくことが必要となる。
続いて、機器の点検について。据置型と携帯型で社内保管型であれば、総務の安全運転管理者や事業所の内勤者による点検が可能となり、こちらは安心である。ただ、安全運転管理者もハイブリッドワークをすることになると、管理者不在でも運用できるマニュアル整備が必要であり、また、その際の不正防止対策も考えておく必要がある。
故障時対応の想定も必要となる。
据置型を二台運用体制でリスクヘッジをしておくか、あるいは、携帯型と併用でのリスクヘッジを考えておく。また、携帯型であっても、故障時用の予備の確保、電池の予備やストローなどの予備もある程度必要となる。また、携帯型を一斉に購入して準備した場合、同時期に故障が続出すると考えられ、買い替え時期が到来したときに充当できる数の確保が必要となる。現在は落ち着いているが、いつなんどき半導体不足になるかもしれず、買い替え時期の対応はしっかりとイメージしておいたほうが無難である。
一人一台携帯型の場合で、故障した場合どうするか? これが厄介である。故障すればアルコールチェックができない、となると、本来は運転できない。総務担当者で、判断しきれるか、運転はできないと指示できるか、これをあらかじめ営業部門の責任者と決めておく必要がある。
故障した場合、所属長に連絡、他の人に営業してもらうのか、顧客に連絡して対応するのか、営業担当者、車両使用者にも負荷をかけずに、すぐに対処できる取り決めをしっかりと決めておく必要がある。他分、この故障時、営業、顧客対応できない問題が最大の問題になるのではないだろうか。
最後に確認したいのは、社内免許制度との関係である。そもそも、社内免許制度は、無免許運転の防止や、事故を起こした場合の社内免許返上などのルールを定めたものである。そこで、アルコールチェックにおける、なりすまし、不正時の処罰の内容と検査陽性時の対応のルール化を追加して、社内免許制度として一体化しておくことが必要である。そして、その周知徹底である。
以上のように、アルコールチェックの義務化にあたってさまざまな確認と取り決めが発生する。冒頭に記したように、この機会を改めて交通事故防止のねじを巻きなおすいいチャンスとしてとらえて、対応していきたいものである。
著者プロフィール・豊田健一(とよだけんいち)
株式会社月刊総務 代表取締役社長、戦略総務研究所 所長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、戦略総務研究所 所長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター、以下同)、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』、『経営を強くする戦略総務』
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