インタビュー
行政手続きの「めんどくさい」をゼロへ 生成AI用いた「スマホ市役所」の実力は: スマホ市役所(2/3 ページ)
自分も給付金がもらえる対象になる自治体の事業を耳にしたとき、調べる手間や申請の手間を考えて嫌気がさした経験はないだろうか? そんな不条理をデジタルや生成AIの力で解消しようとする自治体が増えている。
生成AI活用で、住民も職員もラクになる「スマホ窓口」
総社市のスマホ市役所では、8月からChatGPTを用いた対話応答型サービスの提供を開始した。まずは市民の関心が高いマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する疑問の解消に向けた問い合わせ対応機能を備えた。これにより市民は、開庁時間を気にせず24時間365日、スマホ上の「役所窓口」で疑問を解消できるようになった。
従来のチャットボットに類するシステムは、開発時に詳細なシナリオを設計する必要があった。ところが生成AIを活用すれば、自治体の職員は「質問」とそれに対する「回答」の情報を与えるだけでよい。
Bot Expressの中嶋一樹社長は、スマホ上の「役所窓口」が変えたユーザー体験についてこう話す。
「今までの行政システムは、ユーザーが合わせなければいけない仕組みでした。例えば多くの自治体のWebサイトでは、ユーザー側は知りたい情報のためにページを探し、見つけ出す必要があります。
一方で今回の生成AIを用いたシステムでは、ユーザーが求めている情報をそのまま言ってもらえれば答えが出てくるようになりました。システム側がユーザーに寄り添い、近づいていけるという意味で、これまでとは真逆のアプローチが可能になったと考えています」
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