ゼクシィの「同性カップル広告」狙いはどこに? 背景に未曾有のブライダル不況:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
結婚情報誌「ゼクシィ」の広告が話題になっている。JR渋谷駅の近くに、同性カップルや事実婚のカップルを起用したところ、賛否両論の声が……。
大きなビジネスチャンスがある
LGBTQの「婚姻制度が適応されないカップル」を客として迎え入れて、結婚式や披露宴をバンバンやってもらうことで、ブライダル市場の衰退スピードに若干ブレーキをかけようというわけだ。
実はこれは何も筆者が勝手に思いつきで言っているわけではなくて、リクルート自身がそう言っている。リクルート(Division 統括本部マリッジ&ファミリーメディア・ソリューション Division)が、経済産業省(商務情報政策局 商務サービスグループ サービス政策課)に提出した「ブライダル産業の構造転換に向けた調査・分析 報告書」の中には、「2030年の結婚式に影響を及ぼす変化」として、以下のようなことが指摘されている。
「いわゆる事実婚や新しい家族のカタチも認められ、パートナーシップの価値向上だけではなく、多様で、固有のパートナーシップが広がっていく」
この背景にあるのは、自分たちで実施した市場調査だ。リクルートブライダル総研が未婚者に対して、21年から22年にかけて定点調査をしたところ、「婚姻制度以外の結婚(同性婚、事実婚)の選択があってもよいと思う」と回答した人は60.5%にも上っており、特に15歳から19歳の「Z世代」は、67.6%と他世代よりも突出して高かった。
こういう市場調査がでると、マーケターの人たちはどう考えるかというと、「Z世代にササるような多様な結婚を前面に押し出したマーケティンに力を入れましょう」となる。
ここまで言えばお分かりだろう。Z世代が行き交う渋谷駅に同性カップル広告を出したのは、社会への問題提起うんぬんではなく、単に市場調査や今後の結婚動向を分析した上での、消費拡大策に過ぎないのだ。
そんなニッチなところを取り入れたところで、ビジネス的なうまみなんて少ないだろと思う人も多いだろうが、ここに大きなビジネスチャンスがあると主張する人々もいる。その旗振り役の代表が、電通だ。
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