ゼクシィの「同性カップル広告」狙いはどこに? 背景に未曾有のブライダル不況:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
結婚情報誌「ゼクシィ」の広告が話題になっている。JR渋谷駅の近くに、同性カップルや事実婚のカップルを起用したところ、賛否両論の声が……。
「結婚式をあげたいカップル」を引っ張ってくる
かつてのように結婚式場で、親族や幼馴染、会社の上司や同僚を呼ぶ派手な披露宴などをしても、「お金の無駄」と考えるような若い人が増えている。「だったらいくつか食事会を開いて、海外旅行とかに回したりマンションの頭金に回したりするほうがよい」といった実利主義的なカップルも増えている。
実際、マイナビが22年6月から1年間で結婚したカップルのうち、結婚式を挙げた人は前年比0.7ポイント減の45.3%だったという。しかも、20代は33.9%にとどまっていた。若者で結婚式を挙げるのは、今や完全にマイノリティーなのだ。
さて、このように深刻な「ブライダル不況」のまっただ中で、結婚式場や結婚式を運営する会社からの広告を頼りにしているゼクシィとして、どういうマーケティングを仕掛けていくかといえば、「結婚式場の利用増」につながるようなものでなければいけない。
「結婚っていいですよ」「家族になろうよ」なんて広告やキャンペーンは30年ほど前から山ほど仕掛けてきた。しかし、それでも結婚する人は20年ほど前から右肩下がりで、少子高齢化に歯止めはかからない。本連載の『50年前から分かっていた少子高齢化問題、なぜ回避できなかったのか』の中でも詳しく解説したが、日本はこの半世紀、莫大な税金を注ぎ込んで、少子化対策をしてきたが「成果ゼロ」なのだ。
こういう厳しい現実を受け入れれば、ゼクシィがやるべき方向はおのずと決まってくる。全くこれまでと違うところから「結婚式をあげたいカップル」を引っ張ってくるしかない。しかし、外国人カップルは日本の場合、いまだに「鎖国」が続いているようなものなので難しい。となると、残るはここしかない。
そう、LGBTQだ。
関連記事
- 「ゆで太郎」の“弟分”「もつ次郎」が、急成長しているワケ
立ち食いそばチェーン「江戸切りそば ゆで太郎」の弟的存在の「もつ次郎」が急成長している。店舗が増えているのは併設店が多いからだが、シナジー効果を発揮していて……。 - 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』――最も高い家に住んでいるのは? 査定してみた
国民的アニメの主人公は、どんな家に住んでいるのでしょうか? 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』の自宅を査定したところ……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.