豊田章男会長退任の舞台裏 自工会はどうやって生まれ変わったのか:池田直渡「週刊モータージャーナル」(9/9 ページ)
日本自動車工業会(JAMA)は定例記者会見を開催し、年明けからの役員交代を発表した。会長職は、これまでの豊田章男トヨタ自動車会長から、片山正則いすゞ自動車会長へと交代する。そこからJAMAの生まれ変わりストーリーをたどってみよう。
つまり、100年に一度の改革を進めていくために、商用車は乗用車よりはるかに高い適性を持っている。それこそが、商用車メーカーであるいすゞからJAMAの会長が出るべき理由であり、そうすることによってより早くわが国のモビリティを進化させることができる。だから今回の人事には、片山氏の人柄能力に加えて、商用車メーカーいすゞのモビリティに対する大きな可能性も含めて深く納得する次第である。
最後に会見で日経新聞の記者がした質問を書き起こしてこの記事を締めたい。
「豊田現会長におうかがいします。新会長にいすゞから当てる人事というのは大変意義があるなぁというふうに思ったんですけど、一方でいすゞにはトヨタが出資しておりまして、ある意味トヨタグループという風にみなせると考えますと、引き続き豊田会長の意向が反映された形になるのかなというふうなことを認識したんですが、後任選びから改めてホンダと日産、今までの御三家を外された判断について、先ほど振り回されないというお話もありましたけれど、そういう判断があったのかどうかコメントをいただきたいと思います」
プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。
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