今年の漢字は「税」だが“本当の増税ラッシュ”は来年から 企業が取るべき対策とは?:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
「税」が今年の漢字となったとはいえ、増税は2024年度からが本番となる。また、原則的には「税金」ではないものの、給与から直接天引きされる社会保険料の高騰も踏まえると、企業や一般家計はますます切り詰めた生活となる可能性がある。
今年の漢字は「税」に決定した。物価高騰にあえぐ企業や家計も少ない中、政府の税収は2022年度に3年連続で過去最高を更新しており、23年度も過去最高水準で推移する見込みだという。
金融所得に対する増税を皮切りに、防衛費のための法人税増税や所得控除の削減など、増税イメージが先行する岸田文雄首相を「増税メガネ」と呼ぶ向きもあって、23年の漢字としては納得の声も小さくない。
しかし「税」が今年の漢字となったとはいえ、増税は24年度からが本番となる。また、原則的には「税金」ではないものの、給与から直接天引きされる社会保険料の高騰も踏まえると、企業や一般家計はますます切り詰めた生活となる可能性がある。
2024年度以降の“本当の増税ラッシュ” その中身
23年度の健康保険の平均料率は9.27%になると見込まれており、そのうち半分は企業側が負担することになる。年金保険料や40歳以上から適用される介護保険料も合わせると足元の社会保険料は29.35%と過去最高水準で、ここ10年以上毎年のように値上がりしている。
消費税のように自分が財布から支出する税金は2%上げるだけでも大騒ぎになるが、社会保険料のように給与から天引きされる費用についてはそれ以上に上昇してもほとんど問題にならない。
とりわけ、社会保険料はさらに事業者と折半する仕組みであるため、体感の値上がり幅は半分になる。その分だけ事業者は賃上げを渋らざるを得なくなるわけだが、昇級幅の逸失利益を被雇用側から知ることは難しく、問題が表面化しにくい。
コロナ禍に伴う未婚率の増加と将来の先行き不透明さが、合計特殊出生率にも表れている。令和4年の人口動態によれば同指数は前年の1.30から1.26と大幅に悪化しており、少子高齢化のテンポはより加速していくことになる。1%単位の消費増税でこれだけ反発が起きるのであれば、社会保険料をステルス値上げしていく政策になってくる可能性にも注意したい。
このような税金と社会保険料を足した指標を「国民負担率」と呼び、一般的にこの数値が高ければ、国民の経済活動や消費意欲の低下、経済成長の鈍化につながるリスクが高まる。24年から増税が本格化することは、国民や企業にとってさらなる負担増となり、経済的な余裕の減少や経済成長の妨げとなる可能性が高いといえるだろう。
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