Sansan「名刺納め祭」に終止符 デジタル化で変わる名刺交換の風景
Sansanは、12月13〜14日に神田明神(東京都千代田区)で「Sansan 名刺納め祭 THE FINAL」を開催した。今年が最後の開催になるというが、その理由は。
営業DXサービスなどを展開するSansanは、12月13〜14日に神田明神(東京都千代田区)で「Sansan 名刺納め祭 THE FINAL」を開催した。開催初日には約40人のビジネスパーソンが神田明神に集まり、1年間でたまった紙の名刺累計約8000枚を「ご縁箱」に納めた。
通算で約10万枚の名刺を集めた祭、今年で最後に
「Sansan 名刺納め祭」は同社が2015年から開催してきたイベントで、通算で累計約10万枚の名刺が納められてきた。名刺に限らず紙書類のデジタル化を推進してきた同社にとって、紙の名刺を集める名刺納め祭りにも区切りをつけるべく、今回で最後の開催としたそうだ。
同イベントでは、同社の名刺管理アプリ「Eight」のユーザー同士が集まる交流会も行われた。Eightは9月、スマホ同士を近付けるだけで名刺交換できる「タッチ名刺交換」の提供を開始している。ユーザー同士であれば、もはや紙の名刺は必要ないというわけだ。
Eight事業部の橋本剛副部長によると、Eightは現在330万人以上のユーザーを抱えており、アクティブユーザーはコロナ前を超える水準で推移しているという。今後は非ユーザーとの名刺交換においても、名刺情報をデジタル上でストレスなく受け渡しできる機能を検討しているという。
デジタル化は便利である一方で、名刺交換のような半ば儀式化したビジネスの場面では、紙の名刺を交換するという文化はやはり根強く残りそうな気もする。このあたりについてはどう見ているのか。橋本氏はこう答える。
「例えば結婚式のご祝儀も、事前の振り込みやキャッシュレスに対応するケースが増えています。実際にそうした方がお互いに便利だし、現金を紛失してしまうリスクも考えたらなおさらのことです。とはいえ、新札を用意して渡すこともマナーとして根強く残っています。
名刺交換においても同様で、一部ではデジタル化が進む中で、紙の名刺を交換する文化と併存していく形になると考えています。当社としてはデジタルでの名刺交換もまたスマートであるということを引き続き伝えていきたいと考えています」(橋本氏)
筆者もタッチ名刺交換を体験してみたが、アプリを開いてスマホを近付けるだけで、瞬時に相手の名刺情報がアプリに登録された。確かに便利ではあるものの、紙の名刺では名刺のデザインや裏表をひっくり返しながら場をつなぐ雑談をしたり、複数人との名刺交換では机に名刺を並べて顔と名前をこっそり覚えたりできたのも事実だ。こうした光景もデジタル化によって少しずつ変化していくのかもしれない。
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