インボイスは「追い風」 マネフォ・Sansan好決算、気になるナカミは……?(1/2 ページ)
10月から始まったインボイス制度。企業が対応に追われる裏側で、インボイス制度対応をサポートするSaaSは絶好調だ。マネフォ・Sansan好決算、気になるナカミは……?
10月から始まったインボイス制度。企業が対応に追われる裏側で、インボイス制度対応をサポートするSaaSは絶好調だ。
もちろん、各社が対応を急ぐ今、インボイス関連のサービスが売り上げを伸ばすのは当たり前のことに思える。しかし、インボイスによる経理DXの波は「一過性ではない」と、インボイスに対応するサービスを提供するマネーフォワード、Sansanの2社は分析する。経理DXへの追い風は、いつまで続くのだろう。
インボイス関連の流入が「9倍」に マネフォの決算
インボイス制度に対応した請求書の発行から受領まで、その全てにワンストップで対応する「マネーフォワード クラウド会計」を提供するマネーフォワードも、インボイスの追い風を受ける一社だ。2023年11月期第3四半期(6〜8月)の売上高は、前年同期から37%増えて75億円。SaaSから定常的に生まれる売上高を示すARRは、同40%増加して211億円となった。
同社の辻庸介社長は決算会見で「9月に入って『インボイス』キーワードでのサービス流入が急増した」と話す。インボイス関連の流入は、8月と比較して9月は9倍に急増。全体での流入数も1.4倍に増加した。インボイス制度関連セミナーの申し込みも、昨年比で2倍になったという。
10月の制度導入に向けての駆け込みの需要だけでなく、今後も継続してインボイス関連サービスのニーズは大きいと辻氏は見る。東京商工リサーチが行った調査によると、インボイス制度の対応に必要な適格請求書発行事業者の登録申請は93%の事業社が完了している。一方で、発行・受領ともに対応ができているのは49%にとどまった。
「半数以上の事業者がきちんと対応できていない。いったんは手作業で対応しても、デジタルを使わないとかなりオペレーションが厳しいので、クラウドサービスを導入しないとダメだね、となる事業者も増えてくるのではないか」(辻社長)
インボイス制度対応には、複数のプロダクトが連携する必要がある。請求書は、債権計上から始まり、会計処理のあと保管に至るまでの長いプロセスに関係するからだ。またそれぞれすでに動いているシステムと組み合わせる必要があるため、企業規模によってもプロダクトの構成が変わる(マネーフォワード決算資料より)
マネーフォワードの主力製品はクラウド会計だが、そこにも好影響がある。インボイス制度によって課税事業者が増加するため、会計や消費税申告の需要が増加するからだ。
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