なぜ「サマンサタバサ」はここまで追い詰められたのか 「4°C」との共通点:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
「サマンサタバサ」が崖っぷちに追い込まれている。ボーナスの支給がないほど業績が低迷しているわけだが、なぜここまで追い込まれているのか。「4°C」との共通点があって……。
かつての「輝き」はどうなる
さて、この高級化と希少性という2つのキーワードを踏まえてあらためて、これまでのサマンサタバサや4°Cに定着したといわれるイメージを振り返ってみよう。
「お求めやすい価格でおしゃれなデザイン」「若い女性がみんな持っているので男性も定番のプレゼントに選ぶ」。ナイキが生き残るために選んだ道と、まさしく「真逆」のブランド戦略となってしまっているのだ。
安いニッポンで高級化は難しいという意見も多いが、安いニッポンで激安でもなく高級でもなく、「お求めやすい」を狙うほうがよほど破滅行為だ。人口激減、つまり消費者が激減しているこの国で、「中途半端なブランド」を一体どの層が支持するのか。価格ひとつとっても、ラグジュアリーブランドに比べてたらかなり割安だが、ファストファッションブランドに比べたら高級だ。「どっちつかず」ということは「どの層も支持しない」ことでもあるのだ。
今もなかなか暗闇から脱せないサマンサタバサはさておき、4°Cは店舗を大量閉店するなど経営のスリム化を図り、ブランドの再構築に着手し始めている。
かつての「輝き」を取り戻すことができるのか、注目したい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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